発明会館のビルもなくなるの?
2017年8月9日と10日の連続で、日経に森ビルによる虎ノ門の再開発の記事が出ていました。
総合すると、次のような情報です。
- 森ビルが、虎ノ門ヒルズの中核となる超高層ビル「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー(仮称)」を建設
- 2022年度の完成予定
- 地上48階、高さは265メートル
- 都内で最も高いビルである「虎ノ門ヒルズ 森タワー」を超える高さ
- 東京五輪前に利用が始まる、日比谷線「虎ノ門新駅(仮称)」に直結
- ホテルを整備し、最高層部分は起業家の革新的ビジネスの発信拠点
- 森タワーとステーションタワーの他に、虎ノ門ヒルズビジネスタワー(仮称)と、虎ノ門ヒルズレジデンシャルタワー(仮称、住居中心)が建設中
- 全体で虎ノ門ヒルズが完成
- 東京都の国際金融都市構想の一環で、外資系金融企業を誘致
- 2020年3月に環状2号線の地上部分が開通し、ビジネスタワーには臨海部と都心を結ぶバス高速輸送システム(BRT)のターミナルができる
コメント
8月10日の日経記事にある地図が正確であるとすると、この土地は、まだ複数のビルが建っています。新駅から、事務所の目の前にある発明会館までが、今回の虎ノ門ヒルズ ステーションタワー関連の敷地となっていました。ニッショーホールのある日本消防会館は計画地から外れています。
事務所のあるビルの後ろでは、ホテルオークラの建設工事が進んでいるのですが、更に目の前に都内一の高さの虎ノ門ヒルズステーションタワーができるとすると、事務所の周りが超一等地になります。
2017年から、ステーションタワーの開業する2022年までの5年程度は、建設工事が続くことになります。
三菱地所が、2027年に東京駅の近くに、390メートルの日本で一番高い建物を作るという話がありました。三井不動産も日本橋地区の再開発をしているようです。森ビルの虎ノ門の再開発と合わせて、都内は再開発ラッシュです。
今回の虎ノ門ヒルズは、国際金融都市構想ということですが、本来であれば、兜町や日銀のある日本橋が、国際金融都市のイメージ近いように思います。一方、虎ノ門は、財務省とか金融庁とか役所に近いメリットがあります。
国際金融都市として、ロンドンやシンガポールのようになれるのか、心もとないところがありますので、本当にこれだけのオフィス需要があるのかと思ってしまいます。
さて、メーカー勤務から、特許事務所勤務になり、同じ新橋駅を使っているのですが、山手線の外にある汐留地区から、内側にある虎ノ門地区に勤務場所が変わりました。新橋から、虎ノ門まで当初は銀座線に乗っていたのですが、あまりの混雑に辟易し、18分程度かかるのですが歩いています。
あらためて気づいたのは、東京都心部の人の多さです。東京都心部には、工場でもなく、研究開発部門もありません。企業の本社機構も含めてですが、サービス系の事業者が沢山いるということを実感します。
最近、もうひとつ感じているのですが、夏休みの取り方です。メーカー勤務のときは、工場に合わせて、本社機構もお盆の前後に全員一斉に夏休みでしたが、役所も事務所も夏休みは各人バラバラです。サービス系の事業者はその方が合理的ですね。
日本も、GDPや雇用者のシェアは、7割がサービス業になどの第三次産業となっている時代ですので、メーカーでもサービス業系の仕事をしている人も多いことを考えると、実質は8割方がサービス業の仕事をしていると思われます。
都心に集約することで、そのサービス業の生産性が少しでも上がるであれば、悪いことではないのではないでしょうか。
もう一つ、傍論ですが、特許事務所の顧客がメーカーに偏り過ぎていると思います。7割のサービス業を顧客にせず、2割のメーカーを顧客にしていると伸びが期待できませんし、サービス業に対して、特許なり商標なりを根付かせることができません。特許事務所としては面倒な顧客かもしれませんが、サービス業への知財の教育啓発は必要だと思いました。
日本のサービス業の生産性向上にも有用な感じがします。