2割を超える
2017年8月5日の朝日新聞に、公立図書館の民間運営が 2割を超えたと言う記事がありました。
記事によると、
民間事業者により運営されている神奈川県大和市の図書館の来訪者が好調で、さまざまなアイディアで、受託数を増やしているとのことです。そのアイディアとは、
- 健康についてのセミナー
- 入口でアロマの香り
- 閲覧席で鳥の鳴き声
などです。そして、
- 全国には公立図書館が約3200館ほど、2割の650館が民間事業者による運営
- 図書館流通センター (TRC)が、約510館を受託。10年前の5倍近く
- 他に、TSUTAYAのCCC、有隣堂が参入
- 図書館業務受託だけでは大きな利益にならないが、図書館システムの販売などにつなげられる可能性
とあります。
一方、民間委託については、
- CCCの運営する図書館での資本関係のある業者からの中古本購入が利益優先との批判がある
とのことです。
コメント
CCCが図書館業務の受託は、佐賀県の武生図書館などでよく紹介されていたので知っていたのですが、TRCは知りませんでした。記事で、CCCよりTRCのシェアが大きいことを知りました。この業界のガリバーなのですね。
Wikipediaによると、TRCは、出版業界や図書の流通業界が出資する会社のようです。図書の図書館への販売が、そもそもの業務で、公立図書館以外に、大学図書館等も受託とあります。
図書館を支援するTRCと、書店との関係は次のような関係です。
- 書店からは、図書館の利用者が増えることで、図書の販売が減ると批判
- 書店から、お客様であった図書館への販売を、TRCが奪ったと言う批判
図書館による民業(書店)圧迫の話です。 図書館が人気のベストセラー本を、出版直後に沢山おかないでほしいという声です。この意味では、図書館と本屋は「ラジオとレコード」の関係になっていません。(ラジオは楽曲の宣伝をするので低い対価でも許されていますが、図書館の貸し出しは、本の宣伝になっていません。)
しかし、考えてみると、書店にとっては、図書館以上のライバルがいるように思います。スマホです。スマホに本を読む時間を取られていることが、本が売れなくなっている(読まなくなっている)問題の原因ではないかと思います。
将来的には、若者を中心に読書人口が減り、本の価格が高騰し、本屋が更に減ると思います。レコード屋さん(CDショップ)が、ほとんど無くなったのと同様なことが本屋でも起っているように思います。
同時に、出版文化が変化しそうです。すでに専門書はeBOOKか、オンデマンド出版が多くなっています。
そうなると、民業圧迫と批判されている図書館自体が今のままでは存続し難くなります。図書館のeBookはまだ実験段階のようですが、期限がきれると読めなくなるようです。これを自宅でネットでできるとなると、図書館に行く意味が変わります。
図書館は、無料で書籍を借りる所というよりは、自習場所やサテライトオフィスの代わり、あるいは、リアルな体験ができる文化センターのようなものになって行くのではないでしょうか。よくお世話になっている日比谷図書館も、すでにそんな感じです。
図書館は、何のために存在するのかというところから、その在り方を検討すべき時期なのだと思います。