Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

アンチエイジングは使いません

アルーア(allure)の宣言

2017年8月18日の朝日新聞に、米国の女性誌「アルーア(allure)」の編集長が「アンチエイジング(老化防止)という言葉はもう使わない」という同誌Webサイトで宣言したという記事がありました。

www.asahi.com

同誌は美容特集などで知られる雑誌ということです。年齢を重ねることを否定的にとらえる風潮や美容業界のあり方に、一石を投じたとのことです。

 

下のリンク先のアジア系の女性が、編集長のミッシェル・リーさんで、彼女の文章です。

www.allure.com

朝日新聞は原文を上手く翻訳しています。次のようなことが書かれています。

  • アンチエイジングという言葉によって、加齢とは戦わなければならないものというメッセージを強めている
  • 美しさは若者だけのものでない
  • 「彼女は年の割にきれいに見える」ではなく、ただ「彼女はすてきだ」と言ってみてほしい
  • 一夜にして変わるわけではないが、まずは会話を変えることから始めてみよう

そして、朝日新聞の記者の、まとめです。

  • 若く見せることに価値を置きがちなファッション業界や美容業界へ再考を促した
  • アンチエイジングという言葉は日本でも美容業界などで広く使われており、リー氏の宣言は日本にも影響を与えそうだ

とあります。

 

同誌のサイトに、年齢に関しての、有名人のコメント集がありました。

www.allure.com

 

コメント

アンチエイジングは、欧米的な征服的な価値観であり、自然と共存する、あるいは、年配者を尊敬するというアジアの価値観とは違うものだと思っていました。今回のアルーアの編集長がアジア系というのも納得できる気がします。

 

さて、新しいことを始めるときに内容を適切に表す、あるいは、関係者が共有できる言葉がないと考え方が上手く伝わりませんので、まず、何らかの言葉を作ります。

そしてその言葉を、実際使って、徐々に膨らませて、意味を与えていくと、言葉が力を持ち始めます。スローガンやコンセプトワードが使われるのは、このためでもあります。

 

今回は、人々が年を重ねたように見えることを嫌がるのは、アンチエイジング(anti aging)という言葉があるからでもあり、まずは、アンチエイジングという言葉の使用を止めようという提案です。

 

しかし、風潮を変えるのであれば、単にアンチエイジングの言葉の使用を中止するだけでは足りないように思います。

 

アンチ・アンチエイジング、年齢に関係なくただ美しいということを尊重する、というような、リー編集長の思いを上手く表現する言葉が必要なように思います。

 

また、アンチエイジングという言葉は、化粧品、美容用品、医療機関にとって、商売のネタのようですので、この言葉が使われなくなる、あるいは、古臭くなると困ってしまう業界が沢山ありそうです。

ただ、企業は順応性が高いので、将来的に人々の価値観が変わり、年齢に関係なくただ美しいことを尊重する時代になれば、各企業はそれに対応した新しい商品・サービスにシフトしていくのだと思います。