三波春夫さんの考え方
日本はドイツに比べて労働生産性が低いので、ドイツを見習おうという話があります。
ドイツ人はお客様を神様とは思っておらず、売り手とお客様は対等の関係にあり、できないことは、できないとハッキリいうようです。
良く出てくる、三波春夫さんの「お客様は神様です」というフレーズですが、その意味が三波春夫さんの公式Webサイトにあり、三波美夕紀さんの解説が出ていました。
- 三波春夫といえば『お客様は神様です』というフレーズ
- 本人の真意とは違う意味に捉えられ、使われることが多い
- 三波春夫にとっての「お客様」とは、聴衆・オーディエンスのこと
- 商店や飲食店などのお客様のことではなく、営業先のクライアントでもない
- 俗に言う“クレーマー”の言いわけになってしまっている
- 三波春夫は、本来の意味について、次のように話していた
『歌う時に私は、あたかも神前で祈るときのように、雑念を払って澄み切った心にならなければ完璧な藝をお見せすることはできないと思っております。ですから、お客様を神様とみて、歌を唄うのです。また、演者にとってお客様を歓ばせるということは絶対条件です。だからお客様は絶対者、神様なのです』
三波春夫著『歌藝の天地』
(1984年初刊 2001年文庫化 いずれもPHP研究所)に詳しく出ているようです。
公演で、司会の方と三波春夫さんととが、観客との距離を短めるために、このフレーズを使って対話していた。レッツゴー三匹が舞台を見て、この言葉をおおいに流行らせた、とあります。
コメント
元々は、演者として、多くの観客を八百万の神に見立てて、心を澄まして仕事をしたということであり、歌手個人の心構えです。
レッツゴー三匹が、漫才でいつも言っていたのを覚えていますが、下手な流行らせ方をしてしまったものです。
言葉は、一旦生まれると、それ自体が意味を持ち始めてしまい、もともとの意味を超えてしまいます。
お金を払ったんだからと言って、何をしても良いわけではないのは、皆が承知していますが、すでに、日本には、お客様絶対という風土ができてしまっているので、この変更をするには、この強い言葉を打ち消すだけの強い言葉が必要になりそうです。
今の候補としては、「働き方改革」でしょうか?例えば、「クールビス」など、強い言葉には社会を変える力があります。
個々のお客さんの要望に応えようとすると、業務の標準化ができなくなり、コストがかさみ、結局、コスト高やサービス低下となって、お客さんに跳ね返ります。
社会的に考え方を変えていく必要がありそうです。
「お客様」関連なのですが、「トヨタ自動車様」「NTTドコモ様」のように、企業に「様」をつけて表現することが多かったり、「●●●専務様」「▲▲▲所長様」「■■■部長様」ということが多いのですが、これも同じ問題を抱えています。
法人は、権利能力的には人と言っても、自然人ではないので、敬称は不要なはずです。もともと、話し言葉で、法人名に「さん」をつけて「トヨタさん」「ドコモさん」と親しみを込めて使っていたのが、「様」になってしまったのだと思います。形式に過ぎて慇懃無礼な感じがしています。
また、専務や所長や部長には、言葉自体に、そもそもが敬称が入っているので、重複してへりくだっているという間違った用法です。
国語力のない、一部の人が使い始め、皆がやっているので、止められなくなったものと思います。エレベータの一方を空ける風習と同じです。
エレベーターのように、どこかの新聞が、社会問題として、この問題を取り上げてくれないかと思っています。