ENEOSに統合
2017年9月7日の日経に、JXTGエネルギーが、給油所のブランドを「ENEOS」に統一するという記事がありました。
ブランド統合の歴史が、図で説明があるので見てください。
- 日本石油と三菱石油が新日本石油になり、そのときENEOSブランドが生まれました。そこに、ジャパンエナジー(JOMO)が合流して、JXエネルギーという会社になっています。
- もう一つの流れが、東燃ゼネラル石油で、ゼネラルのブランドです。ここに、エクソンモービル(エッソとモービルの2つのブランド)が、途中から合流して、ゼネラル、エッソ、モービルの3つのブランドでやっていたようです。
- このJXエネルギーと東燃ゼネラルが、2017年4月に会社としてはJXTGエネルギーとして統合していたところ、5ヶ月たって、ブランドをENEOSにするとは発表しました。
今頃、発表になった理由
- 特約店は「ブランドに愛着と誇りを持っている」
- 反発は必至。発足当初はブランド統合を見送った
エッソ、モービルの説明
- エッソ、モービルはエクソンが世界展開するブランドで、日本でも1960年代から半世紀以上の歴史を持つ
- エクソンはすでに小売市場としての日本への関心を失っている。12年に東燃ゼネラルに事業を売却し、ブランドは残ったが経営には関与していない
共倒れの懸念
- JXTGの給油所数の国内シェアは4割超。幹線道路などではENEOSの看板が乱立し、共倒れの懸念
- 対策として店舗の統廃合の必要性
経営効果と将来
- エクソンに支払う年数十億円のブランド使用料はなくなる
- 新たな収益源は海外展開。しかし、海外では欧米メジャーが立ちはだかる
- 今後は海外で厳しい戦い
速報記事もありました。店舗数など出ています。
店舗数など
- ENEOSの系列給油所は全国に約1万カ所
- エッソ(約1800カ所)、モービル(約1000カ所)、ゼネラル(約500カ所)
- 18年から順次、ENEOSに切り替える。20年の東京五輪までに切り替えを完了
- 国内のガソリン需要は電気自動車などエコカーの普及で年2~3%ずつ減少
コメント
年2%~3%、確実にシュリンクする市場というのは、厳しいですね。これも、M&Aの一つですが、攻めのM&Aではなく、市場を整理して、効率化して生き残るためのM&Aですね。
パイの広がっている市場であれば、別ブランドを活用して、売上の拡大を目指すという方法もありますが、ガソリンは配送網やカードの統廃合など、一つのブランドに統合して効率化を図る方が良いのでしょうね。
ブランド使用料の数十億円(80億円なのか20億円かは不明ですが)の経営貢献も大きいと思います。
また、服などは商品に個性があり、ブランドで選択されますので、ブランドを変えることに意味がありますが、ガソリンはどのブランドのものを買っても、基本同じ性能の商品ですので、値段勝負とならざるを得ない特殊な商品なのだと思います。
可能性があるとすると、フルサービスのスタンドをENEOS、セルフのスタンドをJOMOにするとかはあるのかもしれませんが、今は、どこもセルフなので、この戦略もないですね。
10年ほど前から、ガソリンスタンドがなくなって、そこがコンビニに変っているということも良く見かけ、古いカーナビでガソリンスタンドがあるはずのところになく、ガソリンスタンドが減ったことは肌感覚で分かります。
人口の集積地の東京近辺は、交通の便利が良く、地下鉄などの公共交通機関で足りるので、車が必要ではありません。私は横浜ですが、本当に、車に乗らなくなりました。奈良にいた時とは、だいぶ違います。
実家のある奈良市では、地元の有力企業である増尾商事さんが、Mobilの特約店だったので、Mobilのスタンドが多く、一番愛着があります。
今回、EssoとMobiとゼネラルが無くなるとすると、残るは、Shellと出光とコスモ石油でしょうか。Shellと出光は、経営統合の方向で議論があるようですので、これもブランド問題になるのでしょうか?消費者としては、ブランドの選択肢が少なすぎるのもどうかと思います。
この先、海外に出てメジャーと戦うのは、余程、画期的な商品がないと苦しいと思います。
水素社会になるのも、時間がかかりそうですし、しばらくは、ガソリン業界は、我慢の時代が続くのでしょうか。