Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

ブルーボトルコーヒー買収

ネスレが470億円で68%の株式取得

2017年9月16日の日経に、ネスレが高級コーヒーの製造やカフェ運営を手がける米ブルーボトルコーヒーを買収したという記事がありました。

下記はその速報です。

www.nikkei.com

  • ブルーボトルは豆の仕入れや作り方にこだわるコーヒー会社
  • 米国の「サードウエーブ(第3の波)コーヒー」の先駆け
  • 西海岸で人気を集め、日本にも進出
  • ネスレは4億2500万ドル(約470億円)でブルーボトル株式の68%を取得
  • ブランド力と個性を維持するため、ブルーボトルの主要経営陣は続投
  • ネスレはコーヒーの世界最大手で主力商品に「ネスカフェ」を持つ
  • カプセル式コーヒー「ネスプレッソ」など、プレミアム商品にも力を入れている
  • ブルーボトルの買収で高成長が見込める高級コーヒー分野を強化

ネスレのWebサイトで、ニュースリリースが出ていました。

www.nestle.co.jp

ブルーボトルコーヒーは、ネスレが持つコーヒーに関する深い知見とグローバル規模の強固な顧客基盤を共有する一方で、独立した組織として経営を続けていきます。現経営陣と社員は半数未満の株式を保有し、ブルーボトルコーヒーを成功させてきたこれまでと同じ起業家精神を持って、事業を展開していきます。

引き続き、ブライア ン・ミーハンは、ブルーボトルコーヒー最高経営責任者(CEO)として、創業者であるジェームス・フリーマンはチ ーフ プロダクト オフィサーとして陣頭指揮をとります。

 

コメント

9月16日の日経によると、ネスレの売り上げが10兆円だそうで、ブルーボトルは小粒な買収ということです。

本業での成長が鈍化しているので、ぜいたくを楽しむ消費者を取り込むには、個性派の買収が欠かせないとあります。

 

ネスレと言えば、ネスカフェ、ネスプレッソのイメージですが、多くの食品ブランドを傘下に抱えており、食品のブランドコングロマリットでも有名です。

キットカットNestleのブランドも付いていますが、ピュリナ、マギー、ブイトーニなど、別ブランドで展開する多くのブランドを持っています。

以前、聞いた話では、売上の6割がNestle系で、4割はその他のブランドということでした。今回のM&Aは、ブランドに価値があるので、ブルーボトルコーヒーのブランドを継続することは間違いないですし、ブルーボトルがスターバックスのように大成功することもあると思います。

M&Aするネスレ側としては、ネスカフェやネスプレッソなどの既存のブランドと、全く無関係にブルーボトルを伸ばすのか、ある程度の関係性構築するのかなど、ブルーボトルをどのように生かしていくのか気になります。

ブルーボトルとしては、ネスレの資金力や海外展開能力を活用すると、大きく事業を伸ばすことは可能で、ブルーボトルの方にメリットが多いような気がします。

ブルーボトルが伸びれば、ネスレの企業としての収益は向上しますが、ブランド面で考えるとどうなるのでしょうか。

キットカットのようにNestleや、今回ならNescafeをあまり全面に出し過ぎると、ブルーボトルの個性が薄まるような気もします。

あの有名なブルーボトルを持っている、ネスレのコーヒー事業はすごいという関係性はありますが、それだけで良いのかなぁという気はするのですが、ネスレの経営陣の立場に立って考えると、たぶんですが、新しい成長をグループ内部に取り込むことが重要であって、それだけで十分という判断ではないでしょうか。

 

ブルーボトルコーヒーのWebサイトでは、コーヒー200gが1500円程度で通販していました。

bluebottlecoffee.jp

 

一点、面白いと思ったのは、ネスレ日本のWebサイトでのニュースリリースです。今回のブルーボトルコーヒーの買収のニュースリリースを見たのですが、スイスの本社が出した英語のリリースを載せているのと、その日本語訳があることです。

また、英語をクリックすると別のサイトに飛び、そこから、英語、フランス語、ドイツ語のニュースリリースに飛びました。

 

スイスが本社なので、英語だけでは不十分で、フランス語、ドイツ語も必要なのだと思います。また、日本の顧客にグローバルな動きを日本語で正確に知らせるなど、非常に丁寧な仕事をしているなと思いました。