Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

John Lemon

On Lemonにブランド変更

2017年9月19日のGardianの記事に、ポーランドのレモネードのJohn Lemonがオノヨーコさんから警告書を受けて、On Lemonにブランド変更するという記事がありました。

www.theguardian.com

  • レモネードの名前はJohn Lemon
  • ポーランドの会社は、5年前に出来た会社
  • オノヨーコ(Ono Lennon)の弁護士の警告書を受け、On Lemonに変更
  • 10月までにJohn Lemonドリンクの在庫を処分する必要
  • オノヨーコの弁護士(オランダ)は、親会社の他、欧州中の販売会社に警告書を送付
  • 商標権と人格権の侵害と主張
  • 損害賠償として、一日5000ユーロと、一本500ユーロの支払いを要求
  • ハーグの裁判所に損害賠償を求めて提訴
  • ブランドロゴの直下のレモンを持ったレノンの壁の絵が掲載されたアイルランドFacebookが決めて
  • 他の広告には、「Let It Be」の言葉のそばに、丸い眼鏡が描いてあった
  • John Lemon側は2014年に商標登録。一方、Jone Lennonの登録は2016年
  • しかし、レモネードの販売禁止を避けるためブランド変更することにした

コメント

レモネードもパロディ商品ですが、John Lemonで画像検索すると、丸いサングラスをかけたレモンの画像が沢山アップされています。LennonとLemonは綴りが近いので、すでに一般的なパロディだったようです。

 

今回は、Facebookの広告が決めてになったようです。Facebookで広告をするとき、担当者の自由にまかせると、広告マンでは絶対やらないとんでもないものが出てくることがあります。

オノヨーコの主張も強烈です。1日66万円。一本6万6千円。どんな計算をすると、この金額が出てくるのでしょうか?

仮に一本、1000円のレモネードとしても、販売価格の66倍です。アメリカの3倍賠償の懲罰的賠償も、この請求に比べるとかわいいものです。

ただし、落としどころは、10月中は販売が認められるというやさしいものです。オノヨーコ側としても、販売中止が勝ち取れれば、良かったのでしょう。

 

自分の権利は自分で守る(権利かどうかわからないものでも、権利主張することで権利にしてしまう)のが、欧米の常識で、オノヨーコは、その常識に従って行動しているだけです。

特に、今回、John Lemonは、欧州で先行して、EUTMの権利があります(異議申立もしていなかったのではないでしょうか)。その後、オノヨーコ側がJohn Lennonの権利を取得したとあります。

通常、この状態なら、日本人なら権利主張しません。

商標権があっても、それは間違っているからしれないし、言いたいこと、言うべきことがあれば訴訟を含めて徹底的に争うという事例と思います。

 

役所に権利を設定してもらってありがたがっている日本人とは全く違います。日本人はオノヨーコに学ぶところが多いと思います。

 

2017年9月20日のSunには、今回の騒動の相手方の一人、イギリスの販売会社の社長が出ています。スタートアップ企業には裁判は耐えられないとか言っていますが、この社長、案外、平気な顔をしています。商品の宣伝になって、在庫もはけたのではないでしょうか?

www.thesun.co.uk