2017年10月17日の日経夕刊に、企業が製品やポスターのデジタル・アーカイブに取り組んでいることについてのセミナーの紹介がありました。
セミナーは、9月中旬に実施されたようで、コカ・コーラ社などのアーキビストの話があったようです。
大略、次のような記事です。
- コカ・コーラ社のアーキビストであるテッド・ライアン
- コカ・コーラのアーカイブは1939年設立
- 同社の歴史を物語るモノや書類を収集・管理
- ボトルやポスターなど計2万5千点も資料を復元・カタログ化し、デジタル化
- 一部の資料は米国の議会図書館に寄付
- アーカイブはもともとマーケティングの一助
- 新製品やその広告の企画で、過去事例を参照したい社員は多い
- 企業や製品の歴史はブランドの強み
- 社員や取引先が正しく理解し、発展させていくためアーカイブは大きな役割
- 新規国で企業の歴史を伝える上でアクセスしやすいデジタル・アーカイブは便利
- 資生堂は、製品やポスターなどを集めたデジタル・アーカイブを社員向けに公開
- 日本初の練り歯磨き福原衛生歯磨石鹸や、化粧水オイデルミンなどのデジタル画像。2000点以上
- 製品の発売時期や商品概要などの解説。広告の制作者や撮影者などの著作権情報を掲載。日本語と英語
- 商品開発、広告宣伝、社員研修などの資料に画像を活用
- 海外で販売する製品や広告宣伝物の収集・管理は今後の課題
- 凸版印刷や富士フイルムなどは、アナログ資料をデジタル化するサービス
- 出版文化社の中村崇高氏。顧客や取引先からの問い合わせがあったときに必要
- 美術史や産業史、社会史の研究でも重要な資料
コメント
広報などが担当している紙の社史のデジタル化、マーケティングの仕事である製品情報のアーカイブ化、そして宣伝活動のアーカイブ化と、デジタル化する必要があるものが複数あるように思います。
日本の会社であれば、社史があります。これを編纂するためにも、デジタルアーカイブのシステムを導入しておくことは必要な感じです。たぶん、こちらの方は、多くの企業ですでに取り組んでいるのだと思います。
そして、今回、文化出版社がコカ・コーラと資生堂のアーキビストを呼んできて講演をしたのは、製品や宣伝活動のアーカイブを作り、マーケティングや、ブランディングに役立てようという意図だと思います。
各社、マーケティング、ブランディングには、膨大な予算を投入してりますが、発信した情報の整理となると、課題がある状態だと思います。
海外のブランディングの事例ですが、デジタルアーカイブについて、フリーランスのジャーナリストの瀧口範子の説明記事がありました。
マーケティングやブランディングにデジタルアーカイブを活用するとして、まずは、膨大なデータを整理して、基本となるアーカイブを構築し、そして、それをマーケティングやブランディングで活用するものに再加工することが必要だとおもいます。
広告代理店は受任した仕事はアーカイブ化していると思いますが、広告主として自社の広告の内容を広告代理店に聞かないとわからないというのは良くありません。代理店が一社ということもないでしょうし、海外などは代理店が違ったりするので、やはり自社で構築となります。
ちなみに、商標の仕事では、各国の特許庁や裁判所に商標の使用証拠を提出するということがあります。基本的には、新聞・雑誌宣伝、ポスター、カタログ等の広告宣伝、売り上げや宣伝広告のデータ、実際に販売があったことを示すINVOICEなどです。
以前、商標の仕事をしていた2000年頃までは、紙媒体の情報を各国に送ったものですが、最近、商標の仕事に戻ったところ、現在では、資料は宣誓書などを除き、PDFでe-mailで送りますし、そもそも、Web上にカタログやポスターが格納してあり(オープンなところに)、そのアドレスを送るだけで、PDFの送付もいらないことが多いようです。
法律的にも役立つとなると、デジタルアーカイブの構築はもっと進まないでしようか?