Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

東芝の「サザエさん」

スポンサー降板

2017年11月1日のYahooニュースで、東芝サザエさんのスポンサーを降りるという話が出ています。スポーツ報知の記事のようです。

headlines.yahoo.co.jp

まだ、東芝からの正式発表ではないようですが、記事には、次のようにあります。

  • 来年3月末にも「サザエさん」の番組スポンサーを降板する方向で調整に入った
  • 1969年10月の放送開始から約48年にわたりCMを提供
  • 東芝は今年6月、社長が会見で「一定の有効価値がある」と継続の意思だった
  • しかし、経営状況から合理化が避けられないと判断し電通に申し入れた
  • 冷蔵庫や洗濯機といった東芝ブランドの家電製品を広く浸透させるのが狙い
  • 家電市場が頭打ちになった1998年11月に1社提供を終了
  • しかし、15年には白物家電事業は経営再建の一環で中国企業に売却
  • エレベーターや鉄道システムなどの社会インフラ事業に注力する方針
  • スポンサーを続ける意味合いが薄れていた

 

コメント

経営再建中なので、お金のかかる番組の提供から降りることは十分理解できます。

 

この記事を読んで思ったのは、東芝は既に「家電」を美的に売却しており、TOSHIBAブランドも美的か、あるいは、その日本法人(東芝ライフスタイル株式会社など)にライセンスしているという点です。

 

サザエさんの件もそうですが、ライセンシー(ライセンス先)である、東芝ライフスタイルなどが、広告主体になると思います。

 

マジョリティの合弁会社のときは、こちらの責任者がいるので、問題ありません。

従来から、海外では、資本関係のない単なる技術援助契約先や、あるいは、マイノリティの合弁会社にブランド(商標)のライセンスをすることもありました。

そして、ライセンシーである技術援助先や合弁会社が、自分の作っている商品を販売するために、当該国で商品宣伝をすることもありました。

しかし、そのとき、広告について、あまり厳しい監督はしておらず、疑問がある場合の現地統括会社への相談程度の緩やかな管理だったのではないかと推測します。

 

海外で、商品ということであれば、広告宣伝の程度も程度が限られるので、あまり目くじらをたたて、監督する必要はなかったのではないかと思います。

 

この点、日本市場の東芝のケースは違います。家電については、圧倒的なCMボリュームがあり、一方、残る社会インフラ事業や半導体はそれほど、CMの必要はあまりありません。必要なのは、コーポレート系のCM程度です。

 

言い換えれば、家電のCMがTOSHIBAブランドのイメージを作ってきた面があり、これを今後、どのようにコントロールするかも、重要な論点だと思いました。

 

通常、ブランドライセンスの契約の中には、品質保証についての条項は丁寧に入れて、最近は、ブランドの使い方などのブランドの条項も入れますが、広告についてはあまり厳しい条項は入れていないと思います。

 

しかし、影響力の大きい、今回のような場合は、一件一件、チェックすべきかもしれません。

 

この点で、思い出したのは、オリンピックの方法で、オリンピックのスポンサーが、五輪ロゴを使うときは、全件、事前のApprovalが必要なことです。提出して、1週間程度の期間内に、NGの報告がない限りOKというタイプの手法と聞いた記憶があります。

 

オリンピックの方法以外にも、ブランド担当者を常駐させる方法(富士ゼロックスに米ゼロックスのブランドマネジメント担当者が常駐している)や、定期的な監査を実施する方法(事後的チェック)など複数の方法があります。

 

どちらにせよ、東芝サザエさんの記事を読み、広告宣伝活動も重要なライセンス項目になって来ていると思いました。