富士通テンの社名とブランド変更
2017年11月1日のCar Watchに、富士通テンのデンソーテンへの社名変更と、ブランドを「DENSO TEN」にしたことについての記事がありました。
- 富士通テンは11月1日、社名を株式会社デンソーテン(英文表記:DENSO TEN Limited)に変更
- 資本は、従来のデンソー10%、富士通55%、トヨタ自動車35%から、デンソー51%、富士通14%、トヨタ自動車35%に変更
- 今後デンソーテンは、デンソーグループの一員として車載ECU(Electronic Control Unit)、ミリ波レーダー、高度運転支援・自動運転技術、電子基盤技術などの開発を強化
とあります。
同社のWebサイトの沿革を見ると、もともと独立した会社だったようですが、富士通と合併したのが1968年。富士通テンが分離したのが1972年。トヨタやデンソーの資本が入ったのが1973年とあります。トヨタやデンソーとは、古くからの付き合いのようです。
また、「テン」の由来の説明がありました。
https://www.denso-ten.com/jp/company/philosophy/
社名「デンソーテン」の「テン」は、最高・至上を意味する「天」のことです。
中国古典の「中庸」に「誠は天の道なり。これを誠にするは人の道なり。」という一節があり、
「誠」を企業経営の基本理念として、常に「誠」を大切にしています。
前身の「神戸工業」「川西機械製作所」以来「天」「テン」「TEN」が商標として使われました。
コメント
経営的には、自動運転などを目指した、技術者の取り込みが目的のようです。
デンソーが51%の会社ですので、社名が「デンソーテン」になるのは、自然な感じです。
一方、ブランドロゴ(同社は、シンボルマークと呼んでいます)が、「DENSO TEN」になる点に目が行きました。
同社は、以前の社名でも「FUJITSU TEN」としており、親会社のブランドロゴに、自らの「TEN」をつけた形としています。結合型のダブルブランドで、ダブルブランドの一つの典型ではあります。
このタイプの連結型のダブルブランドは、BtoCではほとんど見られず、BtoBの業界で合弁会社を作ったときに、時折見られるものです。
純粋なブランド視点では、このタイプの結合ブランドは、ブランドの個性がにじみますし、ブランドの独自性を守るためには、良くないこととされていますが、分かりやすくて便利なので、時折見られるものです。
ただ、富士通の子会社時代も、デンソーの子会社になった今も、テンという親会社があるわけではありません。富士通時代は、トヨタ、デンソーが、富士通の合弁先であり、現在は、富士通がデンソー、トヨタの合弁先です。
テンとしては、非常に上手に親を変えながら、自らの独自性も発揮して、生き残ってきた会社という感じがします。たぶん、従業員感情やトヨタグループ以外への営業に有利と説明され、デンソー側が承認したというものだと思います。
テンという言葉の由来は、上述のように立派なものですが、この言葉を、上手く使っているなと思います。
実際、商品は、トヨタブランド商品であり、OEMのようなもので、DENSO TENブランドは出てこないと思います。必要に応じて、ECLIPSEを使っている程度です。
また、DENSO TENロゴがでるのは、CEATECやモーターショーや、会社の看板、名刺等だけなのだと思います。
どちらにしても、珍しいものです。これがあるじゃないかと言われるとつらいタイプの、ブランドマネジメント担当者泣かせのブランドです。