Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

アマゾンの第2本社

238件の誘致

2017年10月24日の日経夕刊に、アマゾンの第2本社の候補地として、アメリカとカナダから238の自治体が立候補したというニュースがありました。

www.nikkei.com

  • アマゾンは、新設を検討している「第2本社」につき、北米の自治体から238の提案があったと発表
  • シアトルにある本社と同様に、第2本社でも5万人の雇用創出を想定
  • 9月7日からカナダを含む北米の自治体に対して募集をかけ、19日に終了
  • ニュージャージー州やボストン市など大小の多くの自治体が手をあげた
  • ニュージャージー州は70億ドル(約7960億円)の優遇税制を用意
  • アマゾンは最終予定地を18年に決める計画

 

8日の朝日新聞に、より詳細な情報がありました。

www.asahi.com

誘致合戦の凄まじさを伝える事例が多くあります。詳細は、その記事をご覧ください。

現在、アマゾンが本社を置くシアトルの街が発展したのは、1979年にマイクロソフトが来てからで、その後、シアトルは高学歴、高収入の専門職や技術者が増え、金融、法律、会計などの専門サービスが集積し、シアトルはシリコンバレーに次ぐ全米有数のイノベーション都市になったとのことです。

 

その他の朝日新聞からの情報としては、

  • アマゾンは、マネジメント層と技術者中心に最大5万人を雇う予定
  • 平均年収は10万ドル(約1130万円)超
  • 投資額は50億ドル(約5650億円)以上
  • 候補としては、コロラド州デンバー、ボストン、シカゴ、アマゾンが買収した高級スーパー「ホールフーズ」が本社を置くテキサス州オースティンなど

とあります。

 

また、アマゾンが候補地に求める条件が例示されていました。

  • 人口100万人以上の都会
  • 税制などがビジネス向き
  • 専門人材を引きつける都市の魅力
  • レベルの高い大学
  • 米主要都市に連日直行便がある国際空港まで約45分以内
  • 公共交通機関に直接アクセスできる

いたって常識的です。

コメント

この記事自体は、面白かったのですが、そもそもなぜ、アマゾンが第2本社を作る必要があるのかへの言及がありませんでした。

Webサイトをさっとみたところ、アマゾンの事業だけで、シアトルのオフィススペースの19%の面積という紹介もありました。また、シアトルでは家賃が高騰しているようです。

街がアマゾンの発展についていけず、飽和しているのかもしれません。

jp.reuters.com

 

また、高級スーパーホールフーズの買収と関係つけている、朝日新聞にあった予想も面白いと思いました。

確かに、従来の本やCDなどを中心とした雑貨の販売と、これから、爆発的に増えそうな生鮮食料品のネット販売を考えると、シアトルと同規模以上の仕組みが必要であり、業態もだいぶ違うことから、第2本社が必要かもしれません。

さらに、ホールフーズと一体運営するのであれば、その本社があるテキサス州オースチンは、良いのかもしれません。

 

Wkpediaを見ると、オースチンは、市域で約84万人の人口とありました。また、全米有数の規模のテキサス大学の本部があるようです。

 

日本で第2本社というと東京となります。以前、海外から日本に進出する会社のコンサルティングを担当された方が言っていたのですが、海外の会社は特に東京にこだわりがなく、福岡など複数の都市を比較したようです。

しかし、子供の学校や、さっと大人数を受け入れるような住宅のストック、などを考えると、東京になってしまったと言っていました。

 

横浜の都筑区に東京独逸学園という学校があり、ドイツ企業は横浜を選択するという記事を読んだことがあります。

 

一般的に、メーカーで云われていることですが、日本市場をターゲットにすると、東京で事業をすることが多少有利になるのですが、世界をターゲットにすると東京にいるメリットはあまりありません。

 

アマゾンがどの街を選択するのかは分かりませんが、アマゾンの事例は、日本の地方都市にとって参考になるとおもいました。