Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

ビジネス裁判所の誕生

2021年、中目黒に

2017年11月21日の日経に、ビジネス関係を専門的に扱う裁判所「ビジネス・コート」が2021年に東京中目黒に誕生するという記事がありました。

www.nikkei.com

  • ビジネス関係訴訟を専門的に扱う「ビジネス・コート」が2021年に誕生
  • 企業関係の訴訟や手続きを扱う知的財産高裁や東京地裁の関係部門が移転
  • 中目黒駅近くの庁舎跡地に、「東京高地裁中目黒分室(仮称)」を建設
  • 知的財産高裁のほか東京地裁の「知財部」、会社更生や株主代表訴訟などを扱う「商事部」、民事再生や破産手続きを担当する「破産再生部」が移転
  • 背景に、当事者が海外の企業であるなど、国際取引に絡んだ複雑な訴訟が増加
  • 一方、産業界では「日本の裁判所は使いにくい」とのイメージが根強い
  • 大きな要因の一つが審理や手続きのIT(情報技術)化の遅れ
  • テレビ会議システムで遠隔地の裁判所などと結び、弁護士らが上京しなくても打ち合わせをできるようにする
  • 争点整理や審理のスピードアップを図る

 

コメント

現在の東京地裁は、東京高裁は、霞ヶ関の同じ場所にあります。ビジネス裁判所を作っても、裁判官交流等が現在よりも活発になる訳ではありません。

 

ビジネス裁判所の移転に応じて、知財やビジネスを専門に扱い法律事務所も、霞ヶ関あたりから、中目黒方面に移転を検討するかもしれません。家賃も安くなって、広い物件があるなら、それはそれで良いことだと思います。

 

さて、知財では、裁判所漁り(フォーラムショッピング)が多く、アメリカのテキサス州や、ドイツなど、訴えやすく、制度の使いがってがよいところで裁判が多くなるのは、当然です。日本だけのローカル案件を除き、グローバル案件は、結局、そちらに訴訟が流れます。

 

いくら、日本の裁判所が、公平な裁判、質の高い裁判と言っても、原告敗訴の裁判をしているようでは、日本の裁判所で、グローバルな裁判を起こす原告が増えるはずがありません。望ましくは、判決内容を原告有利に持って行くことと、その次に、半年程度で判決がでるようにすることです。

 

もう一つ、検討が必要なのは、裁判手続きを英語ですることです。日本国特許庁では、だいぶ前から、PCTではなく、通常の日本特許出願が、英語でも可能です(外国語書面出願、これはのちに、翻訳文を要求しますので、完全ではないですが)。また、最近は、医療現場では英語のできる医師や看護師が必要になっていますし、刑事事件でも外国人の絡む犯罪では外国語は必要になっています。

 

知財裁判を英語でできるとすると、海外企業の使い勝手は格段に良くなります。海外の企業が、在外日本公館で、ビジネス裁判所でテレビ会議でアクセスし、裁判官、弁護士も英語で議論し、判決も英語で出て、その後、日本語に翻訳されるというレベルになれば、シンガポールに負けません。

 

今やポリコムでのTV会議システムなどを使った、海外とのテレカンファレンスは、企業では、非常に一般的ですので、在外の大使館を借りてのテレビ会議裁判に違和感はありません。

 

そうなると、海外案件については、裁判所の営業時間を変更すべきとなります。アメリカとなら早朝。欧州なら夜。アメリカと欧州を結んだものなら深夜。日本企業も、海外関係のビジネスでは、こんな時間のテレカンファレンスも一般的です。日本の裁判所も、本気ならそこまでやれば良いと思います。

 

判決文は英語で欲しいですが、法廷では通訳を、活用する方法もありますので、やって出来ないことはありません。AIに仕事を奪われかねない通訳業界も協力してくれるのではないでしょうか。

 

昔の司法試験合格者は、英語が得意出ない人が多いと思いますが、若い人なら英語が得意な法曹関係者も多いですし、海外の法律事務所で、活躍している日本の弁護士を数名呼び戻せば、簡単に出来そうです。

 

ビジネス・コートと名を打っても、IT化だけでは不十分です。ここまでやると本気が伝わります。