ブレグジットの止め方
2017年12月2日の朝日新聞のGlobeに、翻訳家の園部哲さんの書評がありました。
書評は、"HOW TO STOP REXIT"というタイトルの本で、作者はNICK CLEGG(英国の自由党の元党首)です。
ニック・クレッグが、保守党のキャメロン党首と一緒に連立政権を組んでいたのは、2010年~2015年とありました。
書評ですが、
- 「How to Stop Brexit」は、ベストセラー
- EU離脱は、2年間の間に交渉をまとめる必要がある
- すでに三分の一が経過にたにも拘わらず、まともな交渉に入っていない
- メイ首相の求心力も落ち、EUは英国のやる気と能力に疑問をもっている
- 離脱キャンペーンの幹部が、インチキ数字を使っていたことを告白
- 英国民は「EU離脱」という欠陥商品を売りつけられた
- 離脱に関する条文を書いたスコットランド人法律家は、離脱は撤回可能と明言
- 2回目の国民投票をやればよい
- そもそも、労働党も保守党も、議員のマジョリティーは残留派だった
このような内容のようです。
コメント
一旦離脱しますと宣言したら、事情が変更しても絶対に離脱しないといけないということはないと思います。大体、各法分野においては、言葉は色々ですが、事情変更の原則ということも言われますし、まあ世論が変われば変更できるのは当然だと思います。
メイ首相なども、そもそもは離脱反対派だった聞いています。英国人らしく、何が一番得かという点を、徹底的に考えて動いているのだと思います。
メイ首相の指導のもとEU離脱が進むのか、反対にニック・クレッグがこの本で主張しているように事情が変ったとして再度国民投票を行ってEUに残留するのか、将来どうなるのかは全く分かりませんが、この本がベストセラーになるということは、英国は自由に言論ができる国ということは良く分かります。
ちなにみ、この点、2017年12月8日のニューズ・ウィーク電子版によると、英国とEUは、ブレグジットの主要3分野で合意したとあります。
主要3分野とは、1)清算金 2)在英EU市民と権利 3)アイルランドの国境問題の3つです。
これを受けて、第二段階に進めるようになり、離脱後の通商協定や移行措置の協議入りが始まるようです。
商標・意匠は、移行措置の問題ですので、主要論点が片付けば、これから作業が進むのだと思います。
先日、英国の商標弁理士(兼特許弁理士)が、来所されたときにも、この話題を説明して帰られました。商標・意匠の問題などは、そもそも、議論に大きな対立があるものではなく、主要論点がきまれば、特にもめることはないという感じでした。そうかもしれません。