Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

現場とのコミュニケーション

不正防止に関連して

2018年1月15日の日経の「経営の視点」(塩田宏之編集員)で、最近話題の隠蔽等の不正防止にとって、社員との意思疎通が重要というコラムがありました。

www.nikkei.com

最近の自動車メーカーや、鉄鋼メーカーの品質関係の不祥事の原因を、経営者と現場の意思疎通(コミュニケーション)不足と考えて、反対に意思疎通がうまく行っている事例を複数紹介するというものです。

紹介されたのは、京セラの稲盛和夫名誉会長、クボタの木股昌俊社長、積水ハウスの和田勇会長の3名です。

 

まず、稲盛さんは、日航の会長だったとき、伊丹空港で、カウンター勤務の女子社員の2000円のコストダウンの成果発表を大いにほめて、それがメールで社内に拡散し、社員の士気を高めたという話です。

 

木股さんの話は、工場の課長時代に、事故やケガの多さで悩んでいたのが、社員の誕生日に一人一人に「ケガするなよ」という声掛けで、ピタッととまったという話です。今は、社長から部長以上に手書きメッセージカードを届けているようで、部長は全社員に社長の写真とコメントの入ったカードに、自分のメッセージを書き社員に送っているとあります。

 

和田さんは、社内の若手リーダーを集めて、塾を開催し、直接経営ビジョンや体験談を語り、社員が乾燥や意見を述べているようです。

 

コラムは、目標には経営を発展させる面があるが、反対に無理な目標の押し付けへの反発などにも言及しています。

そして、コンサルティング会社の社長の、経営者の指示に現場が反発するのはまだ健全な状態とのコメントの紹介があり、

最後に、筆者は、面従腹背が不正や隠蔽のもとになるというまとめがあります。

 

具体例が面白いので、是非、コラムをご覧ください。

 

コメント

詳しくは分かりませんが、稲盛さんの人心掌握術は見事だと思いました。クボタも、最近のTVCMなど非常に良いなとは思っていたのですが、木股社長はコミュニケーションを理解されている方なのだと思いました。

 

このコラムの言わんとしている点は、経営戦略やブランド戦略でいうところの、インナーコミュニケーションの重要性です。

インナーコミュニケーションは、経営戦略の一部分で語られることも多いですが、どういう自分達=企業=ブランドになりたいかを、語りあったりするのは、ブランド戦略でもあります。

経営者が現場との意思疎通を心がけ、現場を理解しながら、企業としての方向性を提示するというのは、経営者に求められることだと思います。

ある意味、ピーター・ドラッカーが本来目指した目標管理です(変形してしまった成果主義やコミットメントだけの経営とは違います)。

 

良い会社は、どの会社もコラムのような事例を行っている、あるいは、持っていると思います。社内の良い事例を集めて、社員が知り得る状態にすることは、重要な活動だと思います。最近ですから、メールやSNSでも良いですが、一般的には、社内報のようなものがこの役割を持っています。

 

また、経営者が変わるとスタイルが変わるので、手法が変わります。それを、経営企画がスタッフとして社長をサポートするのか、人事や総務か、ブランドや広報や宣伝か、色々ありえます。

 

ともあれ、社長の考えが一番重要です。

大きな会社では、社長も忙しく、スタッフ部門の担当者が社長に変わって戦略を考えるということになりがちなのですが、この記事を読んでいると、スタッフ部門は黒子に徹して社長の良い面を引き出すことが重要なような気がしました。