Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

働いているとは?

働き方改革への、別の視点

2018年1月15日の日経夕刊の「明日への話題」の欄で、カルビーの松本晃会長兼CEOが、働き方改革について、面白い意見を言っておられます。

www.nikkei.com

大略、次のような内容です。

  • 働いているとはどういうことか?
  • まず、誰のために働いているのか?
  • 顧客の問題って何か?消費者は何に困って何を求めているのか?
  • 従業員とその家族は?株主は?
  • では、あなたは、顧客の問題を解決しているか?少なくともその努力をしているか?
  • エスなら働いている
  • ノーなら、忙しくても、残業しても、実際は働いていない
  • 働くということはそんな意味
  • 働き方改革も、働くことの定義をはっきりさせることから始めるべきでは

文章は、日経でご確認ください。

 

コメント

経営学からいうと正に松本さんの仰る通りと思います。

今、議論されている働き方における「働く」というのは労働法由来のもので、安全や健康という面を中心に見ていて、成り立ちが違うので、どちらが正しいということはないのですが、昨今は、「働き方改革」という言葉だけが先行して実体が不明確になっているので、貴重な意見と思いました。

 

国は、人口の減少や、労働力の減少に危機感があり、女性とシニヤが働きやすい世の中をつくりたいと思っています。そのために、保育園をつくり、男性も育児に参加できるようにして、年金を先送りし、人口減、労働力減にストップをかけようとしています。目的は、国力の維持(税収の維持)にあるようなニュアンスがあります。

 

企業は、国家施策に協力すると同時に、働き方改革をチャンスと捉えて、生産性の向上を図ろうとしています。AIを使って、人を減らすなども言われており、合理化に近いニュアンスがあります。

 

労働者は、労働時間が減り、多少なりとも個人の自由時間が増えればと思っています。しかし、残業代が減るのは嫌なので、賃上げ要求となります。昨今は、政府も、デフレ脱却のために、賃金上昇と言っています。政府は、副業をして視野を広げ、賃金を上げることを、推奨していますが、副業をできる人は、意欲のある一部の人に限られそうです。

 

このあたり、三者三様の考え方で、同じ方向を向いているわけではなさそうです。

 

松本さんの意見は、昔から言われている意見であるとは思います。松下幸之助も、企業の利益は社会へのお役立ちの対価と言っていますが、個人と企業で主体が違いますが、ほぼ、言っていることは同じようなものだなと思いました。

 

顧客の問題の解決なり、顧客へのお役立ちなりですが、これが数値化され、この数値に応じて、評価され、給与なりが支払れるなら、言うことはないのですが、現実の世の中では、そこまでの明確なリンクはありません。

 

何を顧客と設定するかが重要ですが、松本さんの視点は、客観的評価でもありますし、働く意義でもあります。