シャープが買収を検討
2018年1月30日の日経に、東芝のパソコン事業をシャープが買収することを検討しているという記事がありました。
- シャープが、東芝パソコン事業の買収を検討
- シャープは2010年にパソコン事業から撤退。以前のブランドは「メビウス」
- パソコン事業に再参入し、迅速に市場開拓するには東芝ブランドの取得が得策
- シャープはパソコンやスマホなどに使う中小型液晶パネルに強い
- 自社でパソコンを手掛ければ、液晶パネルの供給先の確保になる
- 鴻海はHPやデル製品を大量受託生産。パソコン生産ノウハウや部品調達網あり
- グループ全体で、東芝のパソコン事業を引き受け、軌道に乗せる
- パソコン事業の買収額は100億円程度
- 東芝は「ダイナブック」ブランドでノートパソコンなどを販売
- 東芝の2016年度のパソコン事業の売上高は1918億円で営業損益は5億円の赤字
- 2017年度はさらに赤字幅が広がるとの見通し
- スマホ普及による市場縮小の中で台湾、中国勢との競争が激化
- 新興国での個人向け販売から撤退するなどで、年間販売台数はピークの2011年度の1700万台超から2016年度180万台
- 過去に台湾のエイスースと売却の協議をしたが、決裂
- 東芝はシャープ以外への売却の道も模索。条件面で折り合わなければ、協議はまとまらない可能性
コメント
シャープは積極経営になって来た一方、東芝はパソコン事業を手放すのかと思いました。しかし、この記事でよくわからないのが、TOSHIBAブランドが残るのかどうかです。
東芝は、国内白物家電事業を美的集団に、テレビをハイセンスに、それぞれ譲渡していますが、TOSHIBAブランドは供与していますので、一般消費者には、TOSHIBAは残っているように見えます。
将来的には、美的(Midea)や、ハイセンス(Hisense)ブランドにシフトするのかもしれませんが、今は、日本では、TOSHIBAブランドでないと売れないという判断だと思います。
一方、今回のパソコン事業売却では、TOSHIBAも有名ですが、SHARPも有名ブランドですし、Dynabookのネーミングが使えれば、売上減にならないようにも思います。
TOSHIBAのノートPCは、欧米で人気があるので、これが無くなると、欧米でのTOSHIBAブランドの露出が減り、TOSHIBAブランドが一般消費者から見えなくなりますので、この損失は金銭換算はできないですが、東芝にとっては相当大きいと思います。
このあたり、どのように調整するのかなと思います。シャープに売却するのは、技術と製造工場だけにして、営業を残し、TOSHIBAブランドでOEM供給を受け、販売を続けるという選択肢はあるように思いますが、既に遅いのでしょうか。
Dynabookという名称ですが、パソコンの父のアラン・ケイが提唱した、Dynabook構想に由来するものだそうです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%8A%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF
アラン・ケイが、XEROXのパロアルト研究所にいた頃に、このDynabook構想を出したようです。
- ダイナブックとは、GUIを搭載した片手で持てるような小型のコンピュータ
- 子供に与えても問題ない低価格なもの
- 文字のほか映像、音声も扱うことができ
- それを用いる人間の思考能力を高める存在
- 1977年の「Personal Dynamic Media」という論文に詳細が記されている
とあります。
アラン・ケイが、Altoというハードと、Smalltalkというソフトで暫定的Dynabook(縦型のデスクトップパソコンのようなもの)を製作し、研究所を訪れたスティーブ・ジョブズが見て、Lisaを開発したようです。
アラン・ケイは、その後、アップルのフェローになったりしていますので、あまり知財権の主張などをするタイプの人ではないのだと思いました。
東芝自体、Dynabookの名称は、このDynabook構想から来ていると言っているようです。ちなみに、日本では、アスキーが商標権ともっていたとあります。