奈良の一条高校の試み
銀座の泰明小学校がアルマーニの制服(標準服)にしたことで、公立小学校として価格が高すぎることが批判され、入学事態者がでるなどの問題になっています。
これに対して、奈良の一条高校が、藤原和博校長とはじめたスマホでの制服の注文は、また、違う意味で話題になりそうです。
2018年3月21日の朝日新聞によると、滝本という東大阪のメーカーと連携して、来春からネットで直接メーカーに注文し、小売り業者を抜くことで、価格が2割下がるという取り組みをしているようです。
採寸は、自宅でするようですが、動画で採寸方法を説明するなどするシステムを組むとあります。
また、スカートもズボンもあるようですが、男女関係なく選べるそうです。
2018年3月20日付のHUFFPOSTにも、紹介がありました。
その中で、藤原校長のインタビューの記事があり、制服は着なくてはいけないという点からすれば、これは公共事業であり、公共事業の費用を1割削減できるという話なので、放置できないという趣旨のことを述べておられます。
一条高校の校長に就任してすぐに、制服の値上げの問題があり、検討時間もないため、認めざるを得なかったことが、背景にあるようです。
コメント
以前住んでいた金沢文庫のマンションの隣に、制服販売店があったのですが、春には行列ができていました。値段もそこそこするようでした。ユニクロやH&Mが出てきて、ファッション業界に価格破壊が起こったのに、学校の制服は、値段が高いままだなと思っていました。
私立学校では、制服は生徒を呼び込むための大切なツールであり、デザインを吟味します。特に、学校が大きく変わるときはなどは、制服変更でその変化をビジュアル化することができるので、検討対象になると思います。学校ブランディングの大切なツールです。森英恵デザインの制服など、1980年代ぐらいから、この動きはあるように思います。
一方、公立の場合、基本は地域割りなどで、生徒が集まってきますので、ブランディングのツールという意識はあまり必要なく、そのため、制服を変えるという必要性もあまりなかったように思います。
泰明小学校も、一条高校も、公立ですので、どちらも、従来はあまり積極的ではなかったのだと思います。
ただし、泰明の場合は、中央区全体から通うことができる特別な学校で、特色を出す必要があったことが、新しい制服をつくる遠因になったと理解できます。この意味で、私立に近いブランディング手法として、特別な制服が必要という校長の言い分はもっともです。
一方の、奈良の一条高校ですが、就任そうそう、制服の値上げ問題に直面した藤原校長が、制服ビジネスの旧態依然とした点にメスを入れた感じです。また、藤原校長を校長として迎え入れた段階で、学校が変わることを良しという前提だと思いますので、その象徴として、制服があるのは理解できるように思いました(藤原校長が、制服を変化の題材に選んだ感じです)。
HAFFPOSTの記事によると、藤原校長は、藤原校長が担当する「よのなか科」の授業で、制服を生徒と勉強し、2017年秋から制服の見本を提示して生徒、保護者、教員から意見を聞き、地域の販売店と調整したりしているようですので、時間をかけて議論してきたようです。
生徒に制服問題を考えてもらっているのは、人を巻き込む手法として、マーケティングやブランディングの点でも優れているように思います。販売店には泣いてもらったとありますので、ここを乗り越えるのは、一番、大変だったと思います。
泰明小学校の校長の場合、生徒と相談ということもできないと思いますので(高学年なら議論に参加できるかもしれません)、替わりにPTAや教員、教育委員会とよく相談すべきだったということでしょうか。