Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

日本はキャッシュレス後進国

経産省が、補助金や韓国の税優遇を検討

2018年4月10日の日経に、日本はキャッシュレス経済の後進国であり、経産省が協議会を立ち上げて、補助金や韓国にならった税制優遇措置を検討するという話が出ていました。

www.nikkei.com

  • 経産省の作る協議会は、カード会社、コンビニなどの小売業等で構成
  • キャッシュレス化の比率は、韓国が89%、中国60%、英国55%で、日本は20%
  • 2027年までに40%が目標。目標にはほど遠く、政府内であせり
  • 現金決済は、輸送費とATM設置などで、流通コストとして年8兆円
  • 小売店はレジの確認に一店舗当たり2時間半
  • 反対に、消費者は、現金に安心感。ATM網が張り巡らされている
  • 外国人には不便。現金のみで買い物をしなくなる効果は1.2兆円
  • 特に、地方のキャッシュレス化が課題
  • 小売店の支払う手数料の高さが障壁
  • 協議会は手数料の一部に補助金という案
  • また、韓国で実施した、カード利用者に税制優遇する案

というような内容です。

 

コメント

今、キャッシュレス化の遅れが問題になっている背景は、2020年の東京オリンピックパラリンピックの訪日客や、2020年4000万人の観光立国を目指す上で、キャッシュレス化の遅れが課題視されているようです。

キャッシュレス化は、フィンテックの面でも金融関係者などでも、議論の対象になっているようです。

 

海外のことは、次のMS&AD基礎研究所の中川 淳主管上席研究員の「キャッシュレス化の進展と各国事情」という論説が分かり易く解説しています。

www.msadri.jp

伝統的に、英米などはカード社会であり、一方、日本とドイツは現金社会のようです。

一方、偽札の問題もあり、中国では2002年の銀聯カードの開始や、アリペイなどのQRコードを利用した決済が急速に発達し、インドも急速に進んだようです。

 

どうも、日本の誇る、至るところに存在するATMや自動販売機(駅の切符券売機を含む)が、現金の不便なところを覆い隠しており、イノベーションのジレンマに陥っているようです。

 

生活者の意識も重要です。

www.nikkei.com

お金に対する生活者の意識も重要で、男女差があり、男性はキャッシュレスに賛成で、女性は反対という結果があるようです。

 

キャッシュレス化の経済効果は、現在、流通が負担している8兆円と、訪日客の消費ロスの1.2兆円だけではなく、キャッシュレス化でネット通販が拡大し消費拡大につながるなど、経済にとってプラスの面が相当あるようです。

 

経産省が韓国の制度を検討しているという点も、面白いと思いました。

20年ぐらい前までは、特許や商標の法制度の世界では、日本が法改正すれば、それをすぐに韓国や台湾が追従するということが多ったのですが、12年ぶりに知財の仕事をはじめて、法律を見ると、韓国・台湾の法制度の方が、日本の商標法の先を行っている点が多々あり、驚いているところです。

特許庁もどんどん良いところは参考にして欲しいと思いました。

 

(参考)

内閣府の「キャッシュレス化に向けた方策」http://www.meti.go.jp/press/2014/12/20141226003/20141226003a.pdf

 

経産省の「キャッシュレス・ビジョン」http://www.meti.go.jp/press/2018/04/20180411001/20180411001-1.pdf