2018年4月18日の日経の真相深層欄で、任天堂とコロプラの訴訟を受けた論説がありました。最近ゲーム業界では特許訴訟が多くなっている。著作権での争いに限外があることが理由のようです。一方、ゲーム業界での特許訴訟はファンの批判があるようでパテントプールなどの相互活用の枠組みが必要ではないかとしています。
- 2017年12月に、任天堂がコロプラを提訴
- コロプラの白猫プロジェクト。タッチパネル操作に使う技術などの特許
- 他に、グリーがフィンランドのスーパーセルのクラッシュ・オブ・クランに訴訟
- カプコンがコーエーの戦国無双シリーズなどを訴えた判決(損害賠償を認める判決。ただし、控訴中)
- 背景に、グリーがDeNAの釣りゲームで2013年に著作権侵害で敗訴したケース
- 著作権は表現のみで、アイデアまでは保護できない。著作権の限界から、特許にシフト
- もう一つ、機器とソフトの販売から、スマホにシフトし、交渉相手が変わり、従来の話合いではなくなった
- 一方で、ゲームの訴訟では、ユーザーが反発が強く権利行使が難しい
- お気に入りのゲームの差止や機能制限。ゲーム開発の自由度が重要
- パテントプールのような仕組みが必要な時期では
というような内容です。特許訴訟の勝率集計などの情報が詰まっている良くまとまっている記事だと思いますので、是非、日経でご覧ください。
コメント
ゲームの世界が、著作権侵害から特許侵害にシフトということと、ビジネスモデルの変化で相手方が変わったために、特許訴訟が必要になったということは、そうだろうなと思います。
一つ、面白いなと思った箇所は、コーエーを訴えたカプコンの担当者の話で、「驚くほどコーエーのユーザーの反発が強く、ゲーム特許の権利行使の難しさを実感した」というくだりです。
コーエーもカプコンも、有名なゲームの会社ですので、特許の交渉もあるでしょうし、交渉が上手く行かない場合は裁判所の判断を求めて提訴するというのは、通常のビジネスのルールです。
特に、違和感はない話なのですが、ゲームの業界では、ファンの声があるという点は、気をつけないといけない点だと思いました。
SNSなどのネット上での批判程度は、放っておいても良いのかもしれませんが、会社の代表に抗議電話があり、その対応のために担当者が仕事ができなくなるとかではないかと思います。
コーエーもカプコンも株式上場をしている大企業同士であり、ビジネスのことはビジネスのルールで対応すべきと思いますが、ファンの心理も無視はできません。コーエーのファンは、ソフト次第では、明日はカプコンのファンになっている可能性もあるので、丁寧に答えるしかありません。
パテントプールの仕組みを作るのも、DVDや通信のように技術規格があるなら可能性が高いと思いますが、ゲームでは簡単ではなさそうです。
差止請求をしない損害賠償請求では、特許権侵害裁判としては迫力に欠けるのですが、ファンは「差止」という言葉に過剰反応しますので、ゲームでは損害賠償請求一本で行く方が良いのかなと思いました。