Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

オリンピック・パラリンピック マスコットの名前

途中経過

2018年4月28日の日経に、オリンピック・パラリンピックのマスコットの名前決定の中間報告が掲載されていました。

www.nikkei.com

  • 4月27日に、大会マスコットの名前を決める審査会開催
  • 五輪とパラリンピックの名称候補を、それぞれ10に絞り込んだ
  • 5月には2つの組み合わせも考慮して各3候補を選び、商標調査を実施
  • 6月に最終決定し、発表
  • 長野五輪のマスコット、スノーレッツを名付けたネーミング会社のジザイズが依頼受け

このような内容です。

 

コメント

マスコットの選考については、デザインの公募をして、事務局が3案に絞り、その後に小学校のクラス単位での投票をして、現在の市松模様が特徴的な近未来的なマスコットに決まっています。公募や、一般人(小学生)の審査というステップがありました。

 

これに対して、名前はプロに任せるということが当初より決まっており、今回は、ジザイズに依頼があったようです。

http://zyxyz.co.jp/

長野冬季五輪のマスコットのスノーレッツの名前を手掛けたということですので、実績は十分です。

 

しかし、今回、なぜ、マスコット自体は公募したのに、ネーミングを公募しなかったのでしょうか?

 

マスコットの名称ですから、マスコットのデザインが決まらないことには、名称も決められません。2018年2月28日にマスコットのデザイン決定で、6月に名称発表ですので、実質3カ月しかありません。まずは、時間がないというのは、一つの理由だと思います。

 

商標調査が大変だからという意見もあります。例えば、東スポの記事などです。

デザインより難しい 東京五輪マスコットのネーミング問題

しかし、それもあるとは思いますが、それよりも、ネーミングそのものが難しいのだと思います。

 

そもそも、マスコットの名前に、基本的に商標登録は不要です。大会を盛り上げるために、マスコットのキャラクターグッズを販売したりするとしても、それはマスコットのデザインの方であり、何も、マスコットの名前ではありません。マスコットの名前がロゴになり、キャラクターグッズに貼付されるのなら別の判断も必要ですが、基本は、マスコットの名前は自由です。

キャラクタービジネスを展開するときに、キャラターの著作権とは別に、名前も商標権がありセット販売できれば、ベターというのは分かりますが、絶対に名前の商標が必要かというとそうではありません。

 

オリンピック・パラリンピックのマスコットの名前となると、日本人にも言いやすく、親しまれる名称であることが必要ですし、グローバルに通用する名称であることも必要です。

そういう意味では、無理にわかりにくい造語ネーミングを作るよりも、たとえば、太郎と花子ではないですが、一般的な日本人の名前の方が、日本らしくて良いのではないかと思いました。

 

 

ちなみに、直近の韓国の平昌冬季五輪のキャラクターの名前は、スホラン、バンダビという韓国っぽいイメージの名称ですが、造語だそうです。

スホランとバンダビ - Wikipedia

 

下記に、長野冬季五輪のスノーレッツの説明があります。「雪、さあ一緒に!」と「SNOWとOWLETS(フクロウの子供達)」とのダブルミーニングだったようです。

www.joc.or.jp

また、スノーレッツには、4つのキャラクターがいて、スッキー、ノッキー、レッキー、ツッキーで、こちらは、公募で決まったようです。4つ合わせて、スノーレッツという説明もありました。

ちょっとテクニックに走りすぎて、ネーミング体系が複雑ですね。

http://www.shinmai.co.jp/feature/olympic/alacarte/mascot.htm