アマゾンCEOとチャーチル
2018年5月14日の日経に、フィナンシャルタイムズのチーフ・ビジネス・コメンテーターの「メモの効用」についての記事があり、面白いと思いました。
- アマゾンCEOのジェフ・ベゾスと、チャーチルは、メモを重視
- アマゾンの役員会議では、議題説明の6ページのメモを、出席者が読む
- 最大30分かけて一言も発せずに熟読
- 自身の提案を徹底的に磨き、皆が理解できるようにする
- 全員が十分な知識を持った上で議論
- チャーチルは、ジャーナリスト出身。説得力あるメモの信奉者
- 重要なことを簡潔に説明する訓練をすると、考えが明確になる
- たとえ砕けた言い方でも、短くて言いたいことがよくわかる表現を恐れず使おう
こんな内容です。是非、もともとの記事を見てください。
コメント
アマゾンでは、パワーポイントではなくメモを重視しているようです。パワーポイントは、絵を中心に見せるものであり、プレゼンを前提としています。すなわち、プレゼンの表現力の巧拙で、同じことを言っても差がでます。
それに比べると、メモは、ちゃんと読めば、考え方の筋道がわかりますし、プレゼンの上手い下手はありません。
本当に大事なことは、パワーポイントではなく、メモで整理するというのは、その通りだと思います。
パワーポイントの作成は、考えた後に、見せることが中心であり、考えを整理して、考えを作るにはメモの方が向いています。
面白いのは、大切な役員会議の30分の時間を使って、読むという点です。普通に考えると、事前に配布しておいて読んでおいてもらおうと思いますが、役員会議の場で、出席者皆で読むことで、緊張感からでしょうか、何か違いがあるのだと思います。
過去、色んな上司に報告することがあったのですが、判断のスタイルも色々あって、瞬間湯沸かし器のように怒り出す方、質問の多い方、即断即決の方、時間が許す限り考えられる方もいます。こちらからの説明の後、将棋の長考のように、30分間、じっと考えて一言も発しない上司もおられました。質問がパンパン来る上司も準備が大変ですが、熟考されていると何を言われるのだろうかと心配してしまいます(いつも納得いく、合理的な判断だった記憶があります)。
アマゾンの経営会議では、熟読する30分の間ですが、単に資料の意味を理解するだけではなく、どのように評価したら良いのか、何が課題か、どう進めると上手くいくのかなど、色々なことを考えながら、熟読するのだと思います。
最先端のアマゾンが、メモという案外アナログなスタイルでやっていて、それが核心をついているといのが面白いと思いました。
チャーチルは、メモを作ることで考えが明確となる効用と、その考えを分かり易い表現で伝えることの、2点を言っているようです。前者は、ジェフ・ベゾスと同じですが、後者は新聞の見出しのようなものかなと思いました。
力のある短い言葉や、新聞の見出しに近いのかなと思いますが、誤解や曲解を生むこともありそうです。
記事には、チャーチルはジャーナリストから政治家に転身とありますが、Wikipedia によると、政治家になる前は、軍人がメインで、時としてジャーナリストのときもあるという感じのようです。