英文社名のみ
2018年5月22日と5月20日の日経に、社名変更のまとめ記事がありました。
- 日経バリューリサーチで検索すると、2017年度は、237社が社名変更
- 1990年以降で最多。今年も高水準
- M&Aや国際展開が背景
事例として、次のものが紹介されています。
- 新日鐵住金→日本製鐵
- アパマンショップスホールディングス→APAMAN
- 東洋ゴム工業→TOYO TIRE
- 旭硝子→AGC
- 三菱東京UFJ銀行→三菱UFJ銀行
- エイベックスホールディングス→エイベックス
- ジェイティービー→JTB
- スタートトゥディ→ZOZO
- 「スタートトゥディ」の社名の認知度が19.6%。「ゾゾタウン」は、93.1%
- 社名を成長分野のPB(ZOZO)に合わせZOZOの認知度を高めて、PBを世界展開
ちなみに、この記事では、次の事例が引用されています。
コメント
消費者が慣れているものに統一するとか、ホールディングを名乗る会社が増えているとか、反対にホールディングスを社名から取るとか、M&Aとか、グローバル化とか、理由は色々あるようですが、一つの傾向として、社名をカタカナ表記するのではなく、ブランドに合わせて、英文(ローマ字、欧文字)表記を正式社名にしている会社が増えています。
上の事例でもこれだけあります。
日本の商号にローマ字表記が認められるようになったのが、平成14年(2002年)の商業登記規則等の改正からとありますので、16年前です。
16年経って、ついにカタカナ社名がなくても、違和感のない時代になってきたという感じです。今後、ますます、この傾向は続くような気がします。
日本では、漢字やカタカナの社名(商号)があり、それとは別に、英文字のブランド(商標)があるのが、長く一般的でした。
もちろん、ブランド(商標)はロゴ化されており必ず特定の書体がありますが、社名は文章中に記載されることが多いので、特定の社名フォントがあっても、それが使われるのは限定された場合ですが、それでもこの影響は大きいと思います。
なお、実際の社名表記としては、前か後ろに、株式会社という漢字が付きますが、ブランド(商標)を優先的に表示する運用をするとか、社名にCorporationとかCo.とかを付けた英語表記を中心に運用するとかして、公的なもの以外、「株式会社」をあまり出さない方法はあります。
あまり知られていませんが、工業所有権の保護に関するパリ条約で、商号の保護という規定があります。
第8条 商号の保護
商号は,商標の一部であるか否かを問わず,すべての同盟国において保護されるものとし,そのためには,登記の申請又は登記が行われていることを必要としない。
日本で、正式に認められた社名は、基本は、海外でそのまま使えます。当然、自社の社名の使用が、他人の商標権などと抵触し問題になることはありますが、もしも問題がないなら、そのまま、登録や登記など何もしなくても使えるのです。
商号は、商標のように各国で登録を取得しなくても、当該国の法律で保護されるのが特徴です。
例えば、日本の不正競争防止法で保護できる程度まで周知の外国商号は、日本で登記がなくても、保護されることになります。
一般に、商号は、住所と一緒に特定するので、特定が可能ということがあるのだと思います。
著作権に近いようにも思いますし、本来、パリ条約の優先権が目指していた、究極の国際的保護が、実現している面白い分野とも言えます。