Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

イバンカ・トランプの商標

中国等での登録

2018年5月29日のジャパンタイムズに、中国でイバンカ・トランプの商標が、3カ月の間に13件登録になり、ホワイトハウスの利益との抵触が心配されているとの記事がありました。

www.japantimes.co.jp

  • イバンカ・トランプのブランドが中国、フィリピンで登録
  • 中国でイバンカ・トランプの会社が、3カ月で、13件の商標登録許可。8件の商標を出願公告
  • 商品は、ベビーブランケット、香水など
  • イバンカ・トランプはブランド経営と距離は取っているが、資産は家族が運営する信託にあり、利益が入る
  • 彼女の地位や父が大統領であることが利益を生み、各国の取り扱いによって、政策業務において、影響を受けるかもしれない
  • 政治的な影響は中国で心配されているが、中国政府は商標は法に基づき運営されていると反論
  • 弁護士は中国で販売しないとしても、製造する場合は、商標登録の取得を勧める
  • 中国で小売り事業を持っていない。中国生産品を米国に輸出

その他、フィリピンの話とか、労働問題などが書かれています。

 

コメント

日本でも、だいぶ前から、不正競争防止法で、外国公務員への贈収賄が取締の対象にされています。日本の刑法は、日本の国家公務員、地方公務員への贈収賄を対象にしますので、外国公務員は対象外で、それを不正競争防止法が受け持っています。

今回のイバンカ・トランプの会社の件は、中国やフィリピン政府から、イバンカ・トランプへの贈収賄になるのではないかという問題提起となります。

 

記事も、贈収賄になると言っている訳ではないのですが、利益を受けることが政策決定に影響するのではないかという指摘です。

 

商標は、出しておかないと、冒認出願されてしまい、横取りされると回復に大変な労力と時間が必要になりますので、ビジネスとしては、一刻も早く出願しておこうとなります。父が大統領になり、自分も一定の役職をしていますし、有名になりますので、横取りされる危険は高まるので、出願することがNGとは言えないと思います。

 

2017年の3月に出願したものが、今、登録になるというは時間的にも自然です。

 

商標出願は公開されるものですので、贈収賄や利益供与には向かない方法だとは思いますが、何でも議論になるものだと思いました。

 

外国の特許庁も、法に従い、運用しているなら問題はなさそうですが、公の立場に立つ人は、李下に冠を正さずといことが必要ということだと理解しました。