Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

無印良品が上海で罰金

原産国として、台湾の表示

2018年5月24日の朝日新聞で、原産国表示に関する記事がありました。

内容は、中国の無印良品の子会社が販売した、スチール製の物干し約120個に、「MADE IN TAIWAN/原産国:台湾」と印刷されており、上海市当局から罰金20万元(約340万円)の行政罰をうけたというものです。

 

コメント

中国では、中国は一つという考え方から、台湾は中国の一部であり、台湾のことは「中華人民共和国 台湾省」と記載するのが、正しい記載となります。

 

今回は、中国の広告法違反が問題になっていると朝日新聞デジタルにはありましたので、JETROの提供している中国広告法の翻訳を見たのですが、どの条文か分かりませんでした。

JETROの中国広告法の翻訳)

https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/cn/ip/law/pdf/regulation/regulation20150424.pdf

 

特に、台湾の件を書いた条文もないようですので、生産地の虚偽表示(28条)になるのかなと思ったのですが、

J-CASTニュースによると、「国家の利益や尊厳を損なったり、機密を漏洩したりしてはならない」という規定違反ということです(9条)。

www.j-cast.com

国家利益や尊厳を損なうという、一般条項というか、解釈の難しい条文が適用されているようです。

 

この製品は、台湾から、一旦、日本に来て梱包しなおして、中国に再輸出されており、通常は、台湾省なりの中国で認められる表記となって、中国に輸出されていたようですが、この119個は、元の台湾の表記が残っていたままだったようです。

 

J-CASTニュースには、無印良品は、2018年1月にも、中国で配布した「2017年秋冬家具カタログ」の地図で、台湾の表記や尖閣諸島の問題で、中国当局から指摘を受けていたとあります。

 

無印良品は、中国で成功しているブランドですので、目立ちますし、ターゲットにされやすいのかもしれません。

通常は気をつけていたようですので、ちょっとしたミスだと思います。本来は、製造工程で、台湾表記のものと、台湾省表記のものを分けるのが良いのでしょうが、それでは台湾が嫌がるのだと思います。

後々対応が大変になるので、ダブルチェックや全品検査などを、徹底してやるしかなさそうです。

 

無印良品の件だけでの発言ではないのかもしれませんが、J-CASTニュースには、台湾の蔡英文総統が、中国側の対応を「一層反感を買う軽率な行為」だと非難しているとあります。無印良品は、国際問題に巻き込まれている感じです。

 

中華人民共和国は、P.R.C.(the People's Republic of China)と、台湾(中華民国)は、R.O.C. (the Republic of China)と、書くこともあり、これを間違えてしまい、大問題になることもありますので、注意が必要です。

英語の表記の問題ですが、People'sのアポストロフィは忘れてしまいそうです。