Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

八丁味噌、小田原かまぼこ

GIや地域団体商標の争い

2018年5月22日の日経に、GIや地域団体商標の係争についての記事がありました。

www.nikkei.com

⚫GI(地理的表示)の関係では、愛知県で、「八丁味噌」のGI登録団体に未加盟の老舗2社が、行政不服審査を申し立て

地域団体商標では、「小田原かまぼこ」の登録組合が、南足柄の製造業者を無断使用であると提訴している

 

八丁味噌では、老舗2社は木桶で熟成させる製法のものを八丁味噌とし、農林水産省が全県にまたがる組合で、金属製タンクを利用する組合ににGIの登録を認めたことで、長年の確執が表面化

小田原かまぼこでは、2017年11月に地裁の請求棄却の判決。理由は、周辺地域も小田原市と歴史的なつながりが深いこと(知財高裁に控訴中)

 

⚫「神戸ビーフ」、「夕張メロン」などを引き合いに、地域での知財のまとめ役が必要としています。

 

コメント

記事に、地域団体商標が、600件。GIが62件登録されているとありました。数だけで見ると、地域団体商標の方が、10倍活用されているようです。

よく似た制度が、2つも併存しており、地域としては、2つをうまく活用しないといけないので、専門家がいないと運用が難しいと思います。

 

小田原かまぼこの件は、商品の産地の表示として、過去から使用してきたようです。

SANKEI BIZの2018年6月1日付の記事に、知財高裁で和解が成立したとありました。

昨年の一審は、横浜地裁小田原支部判決(地元の判決ですね)で、「小田原かまぼこ」の「小田原」には市周辺の地域も含まれると認定し、業者には「他人の信用を利用する目的はない」として、商標法上の「先使用権」を認めたとあります。

www.sankeibiz.jp

 

これに対し、八丁味噌は、だいぶややこしい感じです。

 

日本の伝統・文化を壊す、農水省の八丁味噌GI問題 (1/2)

このブログ記事は、丁寧に取材され、解決のための提案まで記載されていました。十分理解できていないのですが、「クラシック八丁味噌」と、通常の「八丁味噌」に分けるという提案でしょうか?

 

神戸ビーフは、兵庫県産の牛(但馬牛)の中で、特に、優秀なものがつけることができる名称ですが、基準に当てはまるものは、神戸ビーフと名乗ることも、但馬牛と名乗ることも可能なようです。

八丁味噌とは、少し違いますが、神戸ビーフと但馬牛のような2重の基準を作る解決策もあるなと思いました。 

nishiny.hatenablog.com

  

「八丁味噌」GI登録で対立 愛知県内の2組合 中国も商標出願 (1/2ページ) - SankeiBiz(サンケイビズ)

こちらのSANKEI BIZの記事にあった、中国で「八丁」が登録されている点や、兵庫県明石市の会社の中国子会社が「八丁味噌」を中国で出願しているという点も、気になりました。

GIは農林水産省ですが、経済産業省とタッグを組んで、こちらも解決していかないといけないようです