テミス と ユスティティア
2018年6月7日の朝日新聞夕刊に、最高裁や最高検や法律事務所などにある、女神像の解説記事がありました。新聞を見ていただくと、各女神像の写真があると思います。
この女神像ですが、「剣」と「天秤」と「目隠し」がポイントのようです。剣は、正義を実現する力。天秤は、公平・平等を。目隠しは、私利私欲にとらわれずに判断する無私を意味するとのことです。
ただし、最高検の女神像は、目隠しをして、無私を表現しているところが、違います。
民間の法律事務所ものは、剣を持ってはいますが、振り上げてはいなかったり、剣を小ぶりにしたりしているようです。
この女神像のモデルは、新聞によると、ギリシャ神話の「テミス」ということです。ただ、ローマ神話の「ユスティティア」の紹介もあります。
この「ユスティティア」は、ラテン語で、「正義」を意味して、これが英語の「Justice」の語源という解説がありました。
Wikipediaで、テミスを調べると、
テミスは「正義の女神」と見なされることが多いが、近代・現代的な意味での「正義」とは異なっている。むしろ、古代ギリシア語で正義に該当する神は、ディケー女神である。
とありました。
ディケーは、ゼウスとテミスの娘のようです。
ローマ神話のユスティティアは、ディケーかテミスか意見が分かれるようですが、ユスティティアの姿は、剣と天秤をもった、正義の女神のようです。
ユスティティアは、
ラテン語で「正義」を意味し、英語ではジャスティス(Lady Justice)として知られる。正義の女神であることから、裁判所などでは、天秤と剣を手にし目隠しをしたユースティティア(あるいはテミス)の像 (Statue of lady JusticeまたはStaue of Justice)を飾る習慣がある。
とあります。
テミスも、ジャスティスも良い易い言葉ですが、ユスティティアは、日本人には覚えるのも、言うのも難しいですね。日本人には、テミスで良いということでしょうか。
日本の法律は、明治にフランスやドイツ、戦後はアメリカからも法律を導入することで発展してきたので、女神像を飾るという欧米の習慣も、一緒に入って来たのだと思います。
法曹関係者は、法、裁判、執行、という国家権力を背景にした強い力を行使することがあるので、その象徴という意味が、この女神像にはあります。
象徴の解釈では、剣と天秤は分かり易いのですが、目隠しは少し分かり難いと思いました。私利私欲にとわわれない無私の姿勢を表すということですが、目を見開いて良く物事を観察する=見るというのも、必要なように思います。
あるいは、目隠しには、無私という意味だけではなく、当事者の主張立証という言葉=法廷での音声での立論だけで、判断する、世間の評判や評価に左右されない意味かもしれません。それなら、目隠しの意味は分かります。