Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

楽天のロゴ変更

二年連続でロゴ変更!

2018年6月26日の新聞各紙に、楽天のロゴ変更の1面広告が出ていました。ロゴ変更は、昨年に引き続き、2年連続です。毎年のロゴ変更とは、正直、驚きです。

corp.rakuten.co.jp

 

●昨年(2017年)は、赤い丸(基本形)の中に白抜きでRをあしらった図形マークを基本に、その右横にRakutenと記載し、更にその右に業態を表すディスクリプターを配置するという形でした。図形マークの色彩は、ディスクリプターの色彩と同期させ、変化させる作戦だったようです。

 

昨年は、FCバルセロナへのスポンサーシップを契機に、漢字の「楽天」からローマ字の「Rakuten」に変化させ、日本から海外にはばたく意思の表れだったようです。

また、多様な事業をカラーで表現したところも、ポイントだったようです。

 

昨年のロゴの件は、2017年7月1日発信の楽天のプレスリリースに詳しく記載されています。

corp.rakuten.co.jp

 

●赤い丸(色は変化)にRの白抜きは、それはそれで強いマークだったのですが、今回は、漢数字の「一」の文字をモチーフにしたのロゴになったようです。

Rakutenのローマ字の下に、「一」の図形マークが配置されています。

 

今回のロゴ変更の目的は、リリースからは、昨年とあまり変わらないように読めたのですが、5Gの免許を取得し、第4の携帯キャリアになることが大きいのかなと思いました。

 

ソフトバンクの黄色とシルバーの問題ではないですが、楽天がキャリアになると、ロゴの露出が大激増しますので、キャリアのブランド・ロゴが、実際上、コーポレートブランドになると思います。

 

以前の楽天ロゴの課題は、🄬とRakutenとで、「R」の文字が2回出てきて、重複していた点です。BridgestoneのBのように、B図形部分をロゴに入れ込むのが、一つの解決策だったのですが、今回は、その作戦は取っていません。この方法は非常に高度です。

 

●新マークの好き嫌いは別として、一番視認性の高い左端に、強い個性の🄬マークがあったのですが、「一」の図形要素のはローマ字ロゴの下のサブの位置づけになりましたので、アイキャッチは下がっています。

また、マークとしても、日経TRENDYのロゴを思い出す程度に、ありふれたものです。

漢字の「一」を、もっと強く出す方法もありますが、今回は控えめな表現だと思います。全体に、Rakutenという言葉を、世界の人に認識してもらおうという意図を感じました。

 

●ここまで来ると、文章表記上の漢字の「楽天」をどうするか考えるのが、次の課題になります。社名を含めて、「Rakuten」にすべき時期が、何れ来ると思いますので、まずは、文章中の表記では、漢字の使用をやめていき、カタカナの「ラクテン」や、ローマ字表記の使用を増やすなどが必要性ではないでしょうか。

 

この時、そもそも論ですが、「く」を「ku」とローマ字的に表現してくるのを、「qu」「cu」と表現する方法もあり、折角変えるなら、本当に「ku」が良いのか検討しても良いように思いました。

 

●製品や店頭看板があるメーカーなら、こんなに簡単に、たった一年でロゴ変更はできません。経営責任さえ問われかねません。

ネットを中心とした企業で、修正も比較的容易だからできたのだと思います。

 

●今後、5Gになり、キャリアとなると、リアルな店舗が相当出てきます。

新聞広告では、まだ、®Mobileが残っているようにも見えますが、ここは?です。

「Rakuten Mobile

  一     」

にするなら、今が最後のチャンスですので、色彩を含め、実際に店舗を作って、シミュレーションなどする必要があるのではないでしょうか。

 

●ちなみに、丸の中にRの文字は、商標の世界では商標登録が取れていることを示す、🄬を意味します。これは、世界的に相当普及している表記ですので、商標(ブランド)の近傍に🄬のマークがあると、これかな?と思ってしまいます。

 

外国でこのマークの入った商標を、商標出願すると、これは何を意味するのか?と各国の特許庁から追及され、場合によっては、この部分を削除せよと言われる可能性のなるマークです。

「赤い+」の赤十字のマークは、世界的に共通に、医療関係のマークと認識されていますし、「+」を外国出願すると、赤十字から異議申立があったりしますが、🄬はそれに近い課題のあるマークではあると思っていました。

 

強いマークなのですが、グローバル化を考えると、🄬からの離脱はやむをえないのかもしれません。

 

●カラー展開ですが、安易なカラー展開は、日本の郵便局になってしまいますの要注意です。

昔の郵便局は、赤と白を基本に、少しだけ緑を使った、分かり易い色彩だったのですが、郵政民営化と事業分割を契機に、事業を色分けしようとなり、物理的な一つの郵便局でありながら、機能ごとに、赤あり、オレンジあり、緑ありの色彩のオンパレード状態になってしまいました。これは、失敗だったのではないかと思います。

 

機能毎に色を分けるのは、悪くないと思うのですが、ポイントは、同じ、小さな特定郵便局に色々な色彩の看板が出たことです。パンフレットやWebサイトで止めておくべきものを混在させた、カラーコントールの失敗です。

 

楽天のカラーコントロールでも、同じことが言えます。