Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

マクドナルドのローストビーフ

景表法の排除措置命令

2018年7月25日の朝日新聞の夕刊に、マクドナルドが昨年夏に販売した、ローストビーフ関連商品に関して、景表法に基づく排除措置命令が出たという話がありました。

  • 昨年8月~9月に販売
  • 東京ローストビーフバーガー、東京ローストビーフマフィン
  • 商品の半分以上で成形肉
  • CMではブロック肉が使われているように表示
  • 試作段階で肉の料を増やすことになり、量産加工しやすい肉を使った

とあります。

 

コメント

消費者庁の景表法のWebサイトでは、報道発表資料が掲載されています。2018年に入ってからも25件ほどが掲載されています。

景品表示法|消費者庁

 

そのうち、課徴金の対象になっているものが8件あります。課徴金は、売上の3%ということですので、もし対象になると大変です。

 

マクドナルドの件は、課徴金の対象にはなっておらず、措置命令だけです。

http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_180724_0001.pdf

 

マクドナルドのWebサイトにも、この関係の発信がありました。

弊社に対する措置命令に関するお詫びとお知らせ | McDonald's Japan

また、社告も出しています。メーカーの品質問題のときと同じです。

http://www.mcdonalds.co.jp/content/dam/web/mcdonalds/company/news/pdf/180728.pdf

 

社告は、謝っている感じが出ていますが、Webページについては、事実を淡々と述べている感じを受けました。

 

ブランドの信用に傷がつかないために、景表法違反にならないように注意はしているのでしょうが、どこかでミスが生じてしまいますので、行政罰の対象になってしまいます。

商品であれば、まだ、市場に在庫があるので、その販売時の表示を変えるなどで、消費者が困らないようにすることができますが、このハンバーガーのように期間限定で、すでに終了しているものは、措置命令を出したところで、商品がないのですから、もはやどうしようもありません。将来の改善策と言うところでしょうか。

 

社告と課徴金、どちらも大変ですし、企業が選択できるものではないのだと思います。

金額にもよりますが、社告はお金ですまないものですので、社告を出すことは、大変なことのように思います。

 

ちなみに、最近、措置命令を受けた、他の事例で有名そうな企業(キリンシティ、良品計画東レ)のWebページを見てみましたが、どの会社もWebサイトでお知らせしているようでしたが、社告までは発見できませんでした。

 

社告は、新聞に掲載するものであり、費用もかかりますので、マクドナルドの積極的な判断なのかなと思いました。

折角、好調になってきた業績に、水を差さないように、細心の注意を払っているという感じを持ちました。