Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

マンシングウェア

3社共有からデサント単独へ

2018年8月23日付のデサントの『「マンシングウェア」商標権の一社集約についてのお知らせ』というリリースを見ました。

http://www.descente.co.jp/jp/ir/180823_MSW.pdf

 

デサント伊藤忠東洋紡で共有で保有している「マンシングウェア」の商標権について、伊藤忠東洋紡の持ち分をデサントが譲り受け、一社保有とするという内容です。

  • 1964年からライセンスビジネスとして「マンシングウェア」ブランドを取扱開始
  • 1984年に、伊藤忠東洋紡デサントの三社共有で、日本及びアジアにおける商標権取得
  • 34年にわたり、3社共同で同ブランドのビジネスを展開。年間134億円の売上
  • 東洋紡が製造、伊藤忠商事が貿易、当社が商品 企画・販売
  • 目的は、同ブランドの意思決定を単独で行うことができる
  • 機動的、ダイナミックに、ブランドビジネスを運営

などとあります。

 

コメント

100億円を超える売り上げのビジネスを、三社共有という不安定な形態で、34年間もビジネスを続けてこられたということが、一番の驚きです。

 

三社は、製造、貿易、商品企画・販売と、役割分担がハッキリしていたのだと思いますが、それでも、珍しいなと思いました。

特に、製造は、生産委託先が沢山ありそうですので、東洋紡にお願いするメリットがあるんだろうかと思ってしまいました。

 

マンシングウェア(MUNSINGWEAR)は、ペンギンのワンポイントマークのゴルフウェアが中心のようです。

 

www.munsingwear-jp.com

 

海外では、アメリカを調べましたが、Original Penguinというブランド名のようです。具体的には、"Penguin”という言葉が大きくあって、その下にby Munsingwearというブランドがあり、そして、ペンギンのワンポイントマークあります。Penguinという言葉を重視しているようです。

 

製品本体はワンポイントマークというのは、同じですが、"Penguin"という言葉の扱いが違うようです。

www.originalpenguin.com

 

USのWikipediaによると、MUNSINGWEAR社は、歴史のある下着メーカーだったようです。 1951年にVassar Swiss Underwear Companyと合併し、ペンギンロゴは、1955年から。1960年代、70年代にゴルフシャツがヒットし、1991年にチャプター11、1996年にPremiumWearとなり、John Forsytheに買収され、その会社も2013年に破産したとあります。

MUNSINGWEARとOriginal Penguinブランドは、現在、Perry Ellisがオーナーとあります。

 

ちなみに、Global Brand Databaseをみても、日本などは、3社共有になっていますし、アメリカは、Perry Ellisとなっています。

 

デサントとしては、既に、1984年には、日本やアジアの商標権まで入手して、34年も商売をしていますので、欧米でのブランドの動きが、日本やアジアでの商売に影響があることは無いのだと思います。

 

しかし、日本のサイトを見ていても、過去の60年代、70年代のジャックニクラウスの出ているポスターなどが掲載されていましたので、アメリカ等でのブランドのレガシーは使っています。

 

1984年の商標権の買収時に、レガシーは使って良いとなっていたのか、今でも、使用料を払っているのかは不明ですが、どうしているのかなと思いました。

 

もう一つ、ロゴが違うのは、なぜなんだろうと推測してみました。

一番目立つ、製品=ゴルフウェアには、ペンギンマークしかありません。日本では、これをMUNGINGWEARと記憶させています。一方、アメリカでは、これをPenguin、あるいは、Original Penguinと記憶させています。MUNSINGWEARというブランドはサブです。

 

MUNSINGWEARというのは、もともとは下着メーカーのようですので、日本でいうとグンゼ福助のような会社です。

その会社が出したヒット商品がペンギンマークのゴルフウェアです。グンゼにあたるMUNSINGWEARを大きく出すよりは、ペンギンマークの称呼であるPenguinなり、Original Penguinなりを前に出す方が、特殊な製品ということを説明できたということなのかなと思います。

日本では、幸にも、MUNSINGWEARが下着メーカーとしてのイメージではなく、単に舶来品ということしか情報がなにので、こちらを活用しようとなったのだと思います。