Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

ホラクラシー

新しい組織のあり方

2019年9月11日の日経に、上司も部下もいないホラクラシーという組織形態があるという記事がありました。 

www.nikkei.com

ラクラシー(Holacracy)とは、ヒエラルヒーと対比される組織の形態で、上司や部下、肩書というものがなく、フラットな組織です。

語源としては、Holon(部分でありながら全体でもある)から来ています。

 

米民泊仲介のエアービーアンドビーや、通販のザッポスで採用されているということです。小さな組織に向いているようですが、上場会社など、ある程度大きな組織でも、活用されている事例があるようです。

 

チームに分かれており、チーム間の情報交換を活発にやるようです。経営情報はすべてオープンです。

 

日本でも、採用している会社があり、記事には、アトラエという求人サイト運営会社の話が載っています。この会社は、東証1部に上場する、売上高が22億円、営業利益が6億6500万円という規模の会社です。

 

少し調べました

Holonは、以前よく聞いた、Holistic(全体の)と同じ語源だと思います。

 

ネットで「ホラクラシー」を調べると、下記のBIZHINTのサイトが一番はじめに出てきますし、よくまとまっているようです。

「ホラクラシー」とは?役職のない自由な組織体制のメリット・デメリット、導入事例をご紹介 | BizHint(ビズヒント)- 事業の課題にヒントを届けるビジネスメディア

 

人を中心とした組織から、仕事を中心とした組織にする。そのために、役職などの肩書が不要になり、フラットになるとあります。

 

BIZHINTによると、ホラクラシーのメリットとして、生産性や主体性が上る、ストレス軽減、意見が出やすい、というメリットがあるようです。

一方、デメリットしては、「人」のマネジメントの放棄していないか、自由な状況ではパフォーマンスの低下するのではないか、リーダー不在は個人の責任が大きくなる、情報公開の結果として社内情報が流出する、などのデメリットが反論としてあるようです。

市場変化が激しいIT業界に向いた組織形態とあります。

 

ブライアン・ロバートソン氏がまとめたホリクラシーの憲法があり、下記で見ることができます。

www.holacracy.org

 

各人は、パートナーと呼ばれます。パートナーには、職務説明(Job Discription)の代わりに、役割(Role)が与えられます。

組織全体は、サークル(役割に応じたチームのようなもの)に分かれており、各サークルにも役割があります。

そして、サークルには、選挙で選ばれるコア・サークルメンバーや、リンクという人がいます。リンク役の人は、他のチームとのリンクを果たす必要があります。

その他、ガバナンスのためのミーティング(会議)も沢山あります。

これを実施しようとすると、相当大変そうです。

 

個人がパートナーで、役割を持ったその個人がメインです。その自主責任で多くのことを行います。そのため、業務が、俊敏(Agile)になります。

一方、それだけでは組織としてまとまりに欠けるため、コア・サークルメンバーやリンクというものが設置されています。

役割は、どんどん変化しますので、それを定義しなおさないといけない点も、大変そうです。

 

社員が自分の仕事に大きな責任をもち、上司が社員を信頼して仕事を任すならば、ほぼ、従来型の方法でも同じなのかなぁと思ってしまいました。

しかし、従来型の上司というものがいると、上司は上司の個人の意思を持ちますので、パートナーの意にそわない方針がでたり、どうしても強制というものがでてしまいます。

そのため、上司が、方針の理由を説明して、部下の理解を得ながら進めるのが、最近の方法論です。

ラクラシーは、そのあたりを、ひっくり返しているところが、ポイントです。上司がいないのですから、今問題の上司からのパワハラは当然ありません 。

 

Wikipediaには、ホラクラシーのサークルやガバナンスの制度設計は、社会主義に影響を受けたという説明もあります(ホラクラシー採用企業では、給与は皆で承認することもあるようです)。

Holacracy - Wikipedia

 

個人的には、日本の農家に近いような気がしました。各人は、基本的に独立して個人営業であり、全体としてまとまる必要があるときは、寄合いで決めるという方法です。個人営業で自分でやっている訳ですので、やらされ感はありません。

日本の寄合いは、結論がでるまで延々と議論をするのが特徴のようですが、このホラクラシーの会議も、相当大変そうですので(情報共有のためには必要です)、寄合いに近いように思いました。

 

日経の記事には、個人の責任は大変重くなり、これに耐えられない人は、会社を辞めるとありましたが、さもありなんという感じの仕組みです。

 

効率が悪いと批判された社会主義や、日本の農家の寄合いのようなタイプの仕組みが、今の時代に脚光を浴びているのが面白いところでしょうか。