名を捨てて実を取る
2018年9月26日の日経に、日立製作所が、テレビの国内販売事業から撤退し、日立の系列販売店ではソニーブランドのテレビを販売するという記事がありました。
- 2012年にはテレビの自社生産から撤退、OEM調達品を日立ブランドで販売
- 今後は、国内系列販売店にソニーのブラビアを供給
- 全国4000店の系列家電販売店(日立チェーンストール)の力を維持する
- 日立は洗濯機、冷蔵庫、LED照明はど白物ではシェアがある
- 白物家電とIoTの連携の可能性
- 系列店には白物家電の販売や家庭に入り込む窓口としの機能
などとあります。
コメント
テレビは家電の王様と長くいわれてきましたが、もはや、そうではないということのようです。
まず、以前はOEMをしていたのに、OEMではなくなったというのは、なぜなのか?と思いました。
冒頭の日経の記事では、現在は6万~7万台の販売台数とあります。何とかOEMが成立する程度の販売量はあるように思います。
また、日立の系列店は、日立の看板を掲げて商売をしており、日立の製品を売っていることが存在理由のというところがあり、日立以外の製品を売ることを、良く納得されたなぁという感じはします。
日本の家電メーカーが、多くの商品を取り扱うのは、系列店の存在が大きく、系列店に並べる商品のラインナップを維持するために、苦労をして、利益率が低くても、また、得意な商品ではなくても、自社製造したり、OEM供給を受けたりしてきたのですが、それが変わるということで、意味のある判断だと思います。
ついに、百貨店型経営から決別したという感じです。
見方を変えると、系列店側も、日立ブランドより、ソニーブランドの方が売れると判断したのかもしれません。
他の記事では、ソニーマーケティングと日立コンシューマ・マーケティング/日立アプライアンスが、国内の家電販売で連携を強化するという話もありました。
今後は、テレビに加えて、ブルーレイレコーダーやホームシアターを販売したり、出張修理サービスを相互利用したりもするそうです。
なぜ、日立が組んだのが、パナソニックではなく、ソニーなのかと思ったのですが、ソニーはAVで強いですし、日立は白物に強いので、相互補完関係にあります。
また、パナソニックは、中部地方以西でお店が多いように思いますし、日立やソニーは関東に多いように思います。特に、関西でソニーのお店はほとんど見ませんが、東京や横浜では良く見かけます。得意な地域が重複して、地理的にも、相互補完をやりやすいのだろうと想像しました。
日立以外にも、東芝の系列店や三菱電機の系列店もあります。他の系列店でも同じような動きが出てくるとなると、家電系列店の看板のブランドロゴは、販売している製品とは、だいたいのところは関係があるのでしょうが、関係がないこともあるということになります。
家電系列店の完売のブランドロゴの意味が、曖昧になります。
家電系列店の看板のブランドは、取扱商品のブランドから、一つの「流通事業」のブランドと捉え直して、再検討してみる必要があるのかもしれません。
これは、ブランドと商標の双方においての議論です。