Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

ソフトバンクの子会社の社名

どう考えたら良いのか?

商標協会の実務検討部会のメーリングリストを見ていると、ソフトバンクの子会社の社名変更のリリースのことが出ていました。

www.softbank.jp

2018年10月1日付のソフトバンク株式会社と、今回、社名変更する子会社4社の連名のリリース

  • 2019年1月1日に社名変更
  • 理由は、子会社各社がより自律的な経営を行い、強固な戦略的シナジーグループの形成と、グループ全体のブランド価値向上の促進を狙い
  • ソフトバンクは、さらなる経営基盤の強化に向けて上場準備を進め、グループの経営理念を共有したソフトバンクの子会社の事業を引き続き支援する

(変更後の社名)

  1. ソフトバンク コマース&サービス株式会社→SB C&S株式会社
  2. ソフトバンク・ペイメント・サービス株式会社→SBペイメントサービス株式会社
  3. ソフトバンクモバイル サービス株式会社→SBモバイルサービス株式会社
  4. ソフトバンク サテライト プランニング株式会社→BB Satellite株式会社

とあります。

 

コメント

複数の疑問があります。

といったところです。

 

一般的にいうと、子会社は親会社のコーポレートブランド(社標、ハウスマーク)を使用することで、信用が裏書され、数々のメリットを受けます。

今回の4社を見ていると、ソフトバンクがSBやBBになり、社名自体が短くなるというメリットがありますし、SBと聞いてソフトバンクグループを想起はします。(ちなみに、香辛料のS&B(エスビーと称呼します)も超有名です。)

 

しかし、有名なソフトバンクを使えないことは、これらの4社の経営の足を引っ張るように思います。採用にせよ、資金調達にせよ、ソフトバンク●●という会社名と、SB●●という会社名なら、断然、ソフトバンク●●が有利であり、社会的なプレゼンスがあります。

 

この点、ソフトバンクのWebサイトで、グループ会社を見ていると、SB●●のタイプの会社が数多くあり、ソフトバンク●●は、海外の通信事業の会社と今回社名変更する4社の他は、ソフトバンク・テクノロジーしか残っていません。

すでに、SB●●中心に、なっているようです。

グループ企業 | ソフトバンクについて | 企業情報 | ソフトバンク

そして、このSB●●の会社のロゴマークは、銀色のイコール印の横にSB●●と記載した、ロゴとなっています。

 

次に、BBは、Yahoo! BBのときのBBだと思いますが、この会社は衛星通信の会社であり、なぜ、ブロードバンドのBBを持ってくるのか?という疑問です。

BBも、ブランドとして、残しておきたいという気持ち?でしょうか?

 

最後に、ブランド使用料との関係です。3500億円の一時金(永久ランセンス)という、珍しいスキームで、ソフトバンクグループから、ソフトバンクに「ソフトバンク」ブランドのライセンスがされています。 

nishiny.hatenablog.com

 

一つの仮説としては、ソフトバンクの一時金、3500億円が比較的安い(永久契約としては相当安いと思います)ので、税務的な整合性を確保するために、子会社の売上分を「ソフトバンク」ブランドの支払対価から除外するために、 編み出した苦肉の策というものです。

しかし、この考え方は、縮小均衡であり、発展性がありません。

 

二つ目は、社格です。重要な会社はソフトバンクと名付けて、周辺の会社はSBとするというパターンです。

ただ、この考え方は、お客様視点ではない内向きの論理です。財閥系企業で、例えば、以前の話ですが、住友金属の子会社は住友●●はNGで、住金●●ならOKという方式に近いものです。

 

最後の三つめの仮説は、上記と全く違うのですが、単純に、将来は、ソフトバンクではなく、「SB」をブランドにしようとしているという考えです。銀のイコールマーク+SBが、新たなブランドという考え方です。

ローマ字2文字は、登録性がないというのは、日本の商標法の運用がそうなっているだけで、海外では登録性ありの国も沢山あります。

グローバルに考えると、語源的に、ソフトバンクというと、コンピュータソフトウェアとの関係を想起しますので(コンピュータソフトウエアの銀行の意)、通信までが精一杯の言葉であり、積極的に生活関連や、ロボットなど、更に事業を広げていくなら、ブランドはSBとすべきとなります。

それを、子会社から試験的に実施していると考えると、納得できます。

 

上記の3つのうち、どれが正解か不明です。一つめ、二つめが、こんがらがって、三つ目にシフトしているように見えるだけかもしれません。

三つ目を考えているなら、さすがだなと思います。

 

私がS&B食品の代理人なら、危機感をもって、日本を含む世界に、積極的にS&Bの商標権を出願しておくことをお勧めします。

分野はだいぶ違いますが、ソフトバンクコングロマリット化すると思われますので、今、出願しておいた方が良いかと心配します(三菱鉛筆三菱グループとの関係です)。香辛料や食品関係だけは死守しないといけないように思います。