Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

大学のネーミングライツ

国立大学が積極的に実施

2018年12月11日の朝日新聞に、国立大学の施設に、企業名などをつける権利を売る「ネーミングライツ」(命名権)の導入例が増えているという記事がありました。

  • 財源不足を補う手段と、就活生にPRしたい企業の思惑が合致
  • 数十万円~数百万円の成功例
  • 筑波大学鹿児島大学などで実施例
  • 神戸大学では、情報処理教室に「NTT DATA IT ROOM」のプレート(100万円/年)
  • 山形大学では、天文台望遠鏡ドームで契約
  • 大阪大学では、食堂で契約
  • 九州大学の中央図書館は、1億円/年。契約に至っていない
  • 名古屋大学では、文系教務課ロビーで、50万円以上/年で募集中

コメント

多くの国立大学がネーミングライツをやろうとしており、実際、数十万円~数百万円/年での成立事例があるということです。

比較対象になりそうなものとして、横浜市のwebサイトにネーミングライツの情報がありました。

ネーミングライツ - 横浜市 共創推進室

大きな施設から、ローカルなものまで、積極的に、ネーミングライツをやっていると思います。

 

横浜市の公募のガイドラインは、下記です。

http://www.city.yokohama.lg.jp/seisaku/kyoso/naming-rights/pdf/nr-guideline.pdf

 

日産スタジアムなどは、年間104万2000人の利用者という記載(平成26年度、スポーツ庁調べ)がありましたので、100万人として、一人頭で150円の使用料です。

マスコミにも取り上げられることが多いので、日産スタジアムは、経済的にも十分ペイしていると思います。日産がスポンサーをする横浜マリノスの本拠地でもありますし、日産の本社が横浜ですし、その他の相乗効果も入れると、成功例だと思います。

マスコミの露出効果を考えると、1億5000万円/年は安いようにも思います。2005年という古い段階からネーミングライツで協力してきたためかもしれません。

 

一方、神戸大学のNTT DATAのIT教室の利用者は、それほど多くないと思います。教室を利用するのひは、1000名/年程度ではないでしょうか。ということは、一人1000円です。150円/人にするには、利用者を6,666名にする必要があります。

結局、大学の場合は、マスコミへの露出効果はないと思いますので、企業の「採用部門」の予算で賄える程度の金額にしておかないと、契約成立に至らないように思います。この意味では、九州大学の図書館の1億円は、一桁高いなと思います。

 

ちなみに、契約をすると、契約書の作成や、契約管理が発生するので、この事務見合いで、多少の費用は必要です。鶴屋町クレインズ歩道橋の36万円/年は、事務手数料見合いと言っても良いかもしれません。