Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

インターネット上の模倣品対策

モール型サイト、個別サイト、オークションサイト、SNS

昨日に続き、2018年12月号のパテントの「スポーツと知財」特集を読んでいます。ミズノの法務部の弁理士さんが、「スポーツ用品メーカーにおける模倣品対策」をまとめて書いておられます。

前半は、工場・倉庫、小売店、侵害訴訟、税関水際取締というような、なじみのあるものですが、後半にインターネット上の対策をまとめて書いておられるところが、有益だと思いました。

具体的には、

  • モール型ECサイト
  • 個別の販売サイト・偽サイト
  • オークションサイト
  • SNS

についてです。

 

まず、モール型ECサイトですが、Amazon楽天、ヤフーショッピングなどをいうようです。海外にも中国のTaobaoなどがあります。

偽造品販売サイトの検出から削除申請までワンストップで行う外部の専門企業があるとのことです。

ミズノでは、年10,000件ぐらいの件数を削除申請しているとのことです。非常に多いと思います。

 

個別の販売サイト・偽サイトについては、主に消費者からの問い合わせで発することが多く、フィッシングサイトも存在するとあります。

クレジットカードが使えるサイトであれば、クレジットカード会社に返金を求め、クレジットカード会社が求償したり、取引停止にすることで、被害拡大を防止する方法があるようです。

また、警察経由でAPWGという機関から、セキュリティソフト会社やウェブブラウザの会社に通報してもらう手法があるようです。

 

オークションサイトは、中古なら問題ないのですが、偽造品が出ており、削除申請をするようです。ただ、悪質な場合は、警察と連携するとあります。

 

SNSは、偽造品販売の連絡先やURLを掲載するとあり、大手のSNSに記事やアカウントの削除申請をするとあります。

 

コメント

ミズノの法務部の方は、模倣品と呼ばずに、「偽造品」と呼んでおられます。

あまり偽造品という言葉は、聞かないので、興味を持ちました。

 

経産省のWebサイトには、模倣品、海賊版について、次の定義があります。

被害に遭ったら -権利侵害とは(METI/経済産業省)

模倣品とは、特許権実用新案権意匠権、商標権を侵害する製品のことを言います。例えば、有名ブランドのマークを真似したマークを付けたバッグなどがあります。

海賊版とは、著作権著作隣接権を侵害する製品のことを言います。例えば、日本のアニメーションが海外で無断で複製され、販売されていることなどがあります。

 まあ、そうだなと思います。

 

模倣品という言葉には、コピーすることで人類は発展してきており、コピーすること自体は悪ではなく、他人の商標権・意匠権などのを侵害することが問題であり、それは責められるべきことというような、対象を客観視しようという意識があるように思います。

偽物≒偽造品の方が、より一般的な言葉であり、特実意匠と著作権の双方を包含するようなニュアンスと、より直接的に他人の物に見せかけて悪いことをしているというニュアンスがあるように思います。

また、インターネット上の模倣品対策では、どうも、偽造品という言葉を良く使うようです。

 

Webで英語を検索すると、模倣品はCounterfeit goodsとあり、海賊版はPirate edition、Bootleg(音楽関係の海賊版)、Copy catとあります。偽造品は、fake goodsでしょうか。

 

さて、本題にもどって、モール型ECサイトの削除申請を年10,000件やっているという点は、驚きました。全世界の件数でしょうか。

200日稼働日とすると、一日50件ペースです。もし、社内でこれをするなら、これだけで、一つの課が必要です。

外部機関を使っているのだと思いますが、大変です。

 

良く知りませんが、仮に、一件1万円で削除申請できるとしても、ネットのEC型モールの削除申請だけで、1億円の費用がかかります。

模倣対策も、一つの産業になって来ているんだなと思います。

検索や削除申請にロボットでも入れて、自動化しているのでしょうか?

 

経産省のサイトには、経産省への相談件数が、数百件とありますが、現実の動きは、一企業で1万件という数字のようです。ミズノは特別に多いのだと思いますが、日本企業全部足すと、一体どのぐらいの数字になるのでしょうか?