Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

テイジンの技術ブランド

技術ブランド「テクノーラ」

2018年12月25日の帝人ニュースリリースに、シャープのAQUOS ZEROが、帝人アラミド繊維の「テクノーラ」を採用したというものがありました。

 

帝人 | ニュース | アラミド繊維が「シャープ AQUOS zero」に採用

 

  • 帝人のパラ系アラミド繊維「テクノーラブラック」が、シャープ株式会社のスマートフォンAQUOS zero」の背面パネルに採用
  • AQUOS zero」は2018年12月21日に発売
  • バックパネルに「テクノーラブラック」、ディスプレイに有機EL、筐体フレームにマグネシウム合金を使用
  • (特定条件下で)約146gという世界最軽量
  •  「テクノーラ」は、帝人が開発した共重合タイプのパラ系アラミド繊維
  • 同一重量において鉄の8倍の強度
  • 耐衝撃性、耐熱性に優れる
  • ロープ、エンジンのタイミングベルト、競技用車両のシートやボンネット、航空宇宙用途などに幅広く採用
  • 「テクノーラブラック」は、「テクノーラ」の紡糸段階で顔料を混練させたもので、耐候性の高さから、消防服やヨットセールなど屋外で使用される製品への採用が進んでいる

とあります。そして、次の解説がありました。

 【参考】帝人アラミド繊維について
アラミド繊維は、一般的に高強力、耐熱性、寸法安定性、耐薬品性などの特性を持つ高機能繊維の1つで、パラ系とメタ系の2種類に大別されます。パラ系アラミド繊維は、特に強度、防弾・防刃性などに優れ、主として防護衣料、自動車のブレーキパッドなどの摩擦材やタイヤの補強材、光ファイバーケーブルの補強材などに使用されており、今後も安定した市場成長が見込まれています。帝人グループは、オランダ・エメン市で生産する「トワロン」と、愛媛県松山市で生産する「テクノーラ」で世界市場の約2分の1を占めています。一方、メタ系アラミド繊維長期耐熱性や難燃性に優れ、耐熱フィルターなどの産業資材、および消防服などのユニフォームに使用されており、帝人グループは山口県岩国市で生産している「コーネックス」を展開しています。さらに2015年8月には、防護衣料のグローバルでの需要獲得推進を目指し、タイ・アユタヤ県において、世界最高レベルの熱防護性と安定した高い染色性を有する新規メタ系アラミド繊維「Teijinconex neo」の生産を開始しています。

 

コメント

トワロン、テクノーラ、コーネックスとあります。繊維の名称のようですが、技術のにおいのするネーミングです。

今回は、このうち、テクノーラが、他社製品に採用されたことをニュースにしています。

この3つについては、特設ページがあり、技術特性などが見れるようになっています。

帝人|製品・サービス|アラミド繊維情報

 

今回のリリースは、帝人のリリースですが、シャープとしてもこのアラミド繊維「テクノーラ」を採用したことを、スマホの売りにすることは可能です。

軽い、強い、耐衝撃性、耐熱性といったメリットがあるようです。

 

シャープとしては、特に、積極的に、「テクノーラ」採用と言ってはいないようです。ここが、旧デュポンの「テフロン」と違うところです。テフロンでは、最終製品のフライパンなどに、「テフロンⓇ」採用と書くことで、フライパンの売上まで変わってきます。

その意味では、「テクノーラ」をブランド化することが必要です。

 

今回の帝人ニュースリリースもそのための方策でしょうが、一番良いのは、最終製品であるシャープのAQUAS ZEROの販促物で、「テクノーラ(ブラック)」採用と記載してもらうことです。

製造会社のシャープとしても、キャリアのソフトバンクとしても、無償なら「テクノーラ」を使ってくれるかもしれません。

対価はアラミド製品の原価の中に入っていると観念して、お客さんであるシャープに「テクノーラ(ブラック)」を使ってもらうようにするのが、技術ブランディングの第一歩であるように思います。