上位30テーマの8割で中国が首位
2018年12月31日の日経に、日経とオランダのエルゼビアの、研究テーマ別ランキングが載っていました。
閲覧数で注目度を点数化し、高得点の30テーマをランキングにしたものです。
調査対象は、この5年分の論文で、1720万件。米国が390万件、中国が290万件、日本が77万件とあります。
また、テーマについての、国別論文数が出ています。
これを見ると、30の研究テーマの23で中国がトップです。米国は7テーマでトップ。日本は3位になったものが3テーマという状態で、1位や2位になったテーマはありません。
中国の論文は粗製乱造と言われてきたようですが、最近は質も高く、引用数の多い、優れた論文の比率が、米国15.1%、中国10.9%、日本8.5%と日本を超えているということです。
背景に研究開発費が10年前の3.4倍になっている点があるとあります。
中国が力を入れているのは、実用化を視野に入れた分野で、材料科学の割合が高く、電子デバイスやEVを念頭においた応用研究、とあります。
コメント
この日経の共同調査は、
- 研究テーマ別のランキングは、閲覧数ではじき出しており、
- 国別論文数ランキングは、論文数で出しています。
閲覧数で出すのは、注目されている研究分野であることを示しますので、良いと思いますが、国別論文数ランキングは、単純なシェアであり、重要論文のシェアではない点は、少し疑問です。
たで、引用数の多い優れた論文の比率が10.9%と、8.5%の日本を抜いているようですので、この優れた論文の比率で補正して考えれば良いのかもしれません。
どうやら、科学技術の論文の世界では、既に中国が世界のTOPのようです。これが特許になるのは、時間の問題です。最近の話ですので、アメリカでも日本でも中国でも、重要研究成果は特許にしていると思います。
アメリカは、中国の中国製造2025というハイテク産業育成策を批判しているとありますが、科学技術の論文数が多いことを批判するのは難しいと思いますし、また、特許数が多いことを批判することも難しいと思います。(補助金は批判可能ですが。)
中国は、学術論文では既に世界1位ということであり、外国特許数でもすぐにトップになりそうです。
特に渉外系の特許事務所や法律事務所は、これからは、中国企業の側に立ち、日本企業と戦うことを想定しておくべきです。