隷属的模倣、価値の不正利用、寄生的模倣
同じく、パテント誌の商品形態模倣ですが、イタリアは、2019年1月号にあります。イタリアでは、独立した不正競争防止法ではなく、民法で商品形態模倣が保護されているようです。
民法の2598条1号、2号、3号が、これにあたります(※民法の条文数が多いようです。改正するときは、番号が変わるのでしょうか?)。
1号が、混同を生じされるおそれで、ここに隷属的模倣が入るようです。
2号が、信用棄損や他人の優れた品質を自分のもののように扱う、価値の利用がここに入るようです。広義の混同(企業混同)は、これで読むようですが、製品の混同のおそれは必要ありません(それは1号のようです)。
3号が、公正な慣行の原則に適合せず競業者の事業を損なうおそれで、寄生的模倣がここに入るとあります。
1号の混同が隷属的(slavish imitation)
2号の価値の利用が、類似品(look alike)
3号の公正な慣行が、寄生的(parasitic)
と、キーワードが違うようです。
1号の混同は、日本人にも分かりやすいですが、この混同には、連想を含むとあります。(※連想はブランド用語です。)
2号は、欧州独特の「名声」に、「ぶらさがる(hooking)」、「ただ乗りする(free riding)」することがポイントのようです。対象が、類似品とあります。
3号の寄生的については、エンジンの例と芝刈り機の例が紹介され、エンジンは寄生的模倣にならず、芝刈り機は寄生的模倣になっています。特許などの知的財産権の存続後の保護は、制約的になるようです。まだ、独創性を有するという状態が継続している、投資回収がまだ十分でないかどうかがポイントのようです。(※このあたりの論理は、示唆的です)
コメント
民法で不正競争防止をしている点が面白いのだと思います。
イタリアは、ファッション産業が盛んですが、判例で紹介されていたものにファッション系のものはありませんでした。
最近、ファッションに関する法的保護の議論を良く見るようになりましたが、意匠法は権利取得が面倒で活用されていませんので、不競法か著作権法で対応となるのだと思いますが、アメリカの古い判例には衣服のデザインは著作権で保護しないというものがあるようですし、
エルメスのバーキンなどは、立体商標を、重視しているとありました。
ファッションローは、法律を跨いで、総合的に見るようです。
名声の部分に、類似品という概念が入って来ていたり、概念が分かり難いところもありますので、事例を見て、こんな感じがこれになるのか、というように理解するしかないように思います。
パテント誌に、写真がありましたので、見てもらえればと思います。