英国は、UKCAマークへ?
2019年2月6日のJETROのビジネス短信に、英国のBrexitに関連して、何らの合意なく離脱(ノー・ディール)した場合の、CEマークに替わるUKCAマークのガイダンスを発表したという件が掲載されています。
https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/02/0c6bf0b18bf6b8da.html
- 新しい基準適合マークは「UKCA(UK Conformity Assessed)マーキング」
- ノー・ディールとなる場合に、英国議会での承認を経て導入が決定
- 自己宣言による認証や、英国を除くEU加盟国のNBの認証により、CEマーキングを表示した製品は、英国のEU離脱後も引き続き、国内で販売できる
- ただし、CEマーキング貼付製品の英国内での流通は時限的措置としている
- 英国の第三者認証機関(NB)の認証を受けた製品については、離脱日(3月29日)以後から新しいUKCAマークが必要
- 英国のNBによる認証はEUのNBの認証とは見なされなくなる
- EU市場で販売するには、EUが認定するNBで再度、認証を受ける必要
- 自己宣言によりCEマーキングを表示している商品については、離脱日以降からUKCAマーキングを用いることも可能
コメント
欧州向けの製品は、安全や環境規制に関してCEマークを表示していましたが、英国だけUKCAマークに変えるのは、大変な作業です。
このレポートによると、合意なしのBrexitが行われる場合、英国向け製品では、UKCAマークに変更する必要が出てきます。
CEマークの印刷されている製品がいかに多いかを考えると、本当に、特に赤で書いた部分ですが、CEマークの英国内流通を認めないというようなことが可能なのか?という気がします。産業界は、大反対ではないでしょうか?
数年必要と思いますが、一定の準備期間を設けて、両マークの併存に持っていくのがやっとではないかと思いました。英国としては、UKCAマークがあれば、CEマークがあっても、問題ないはずです。
以前、技術ブランディングを調べたときに、ヘルメットの標準化の話を読みました。ヘルメットの安全規格でさえ、国毎に異なる規制を一本のルールにする(オールドアプローチ)ことができなかったのです。それを達成すべき効果だけを記載した規制を設け、その達成手段は各国に任せるというニューアプローチを採用したところ、これが大成功して、安全規格の欧州での整合性が図れるようになったという話です。
ちなみに、このニューアプローチは、企業がM&Aをしたときとか、グループ会社の統制をとるとか、色んなところで採用できる考え方だと思います。欧州の人の知恵を感じます。
CEマークについて、良く分かるサイトがありました。
ニューアプローチ指令とは何か? | CEマーキングの応用知識 | CEマークの認証取得支援
欧州で良く出てくる、規則(Regulation)、指令(Directive)、決定(Decision)、勧告(Recommendation)、意見(Opinion)の違いなども解説してくれています。
CEマークは、そのシンボルであり、ユーロ(€)と並び、欧州統合の象徴です。Brexitをやるなら、CEマークからの離脱は、理念上も避けられないところなんだと思いました。
ちなみに、商標業界では、EUTMについての、合意なしBrexitの取り扱いが話題になりますが、商標の方は、離脱日以前のEUTM登録は、そのまま英国でも効力があり、出願中のEUTMは、英国に再出願が必要という話が出ている程度で、驚くような影響はなさそうです。