黒人差別の批判受け、販売中止へ
2019年2月8日の日経(夕刊)で、グッチが黒人差別の批判を受けて、黒いセンターの販売を中止したという記事がありました。
同日付の日経電子版の方に、詳細な記事があります。
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女性向けのタートルネックの黒いセーター。口元まで覆えて、大きな赤い唇で縁取られた穴がある
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黒人を侮辱していると批判の投稿。SNS上で「黒人の顔に似ている」「決して受け入れられない」
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同社は販売を中止。「深くおわびする」「今回の出来事を大きな教訓にしたい」
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ドルチェ&ガッバーナ(D&G)は、アジア系女性が不器用に箸を使って、ピザやパスタを食べようとする映像が、中国人への差別表現として反感。中国で販売中止や、不買運動に発展
- 騒動でブランドへの信頼感が低下すれば、業績に打撃となる可能性
コメント
ラグジュアリーブランドのデザインはチーフデザイナーのような人に任されていると聞きます。このグッチ、プラダ、D&Gの件も、チーフデザイナーの判断で出ているのでしょうか?
LVMHやリシュモンなど、巨大ラグジュアリーブランド・グループでは、管理系もしっかりしているようなので、何らかのチェックが働いても良いように思いました。
Wikipediaを見ていると、グッチは、仏ケリンググループに入り、その中核企業とあります。プラダは、創業家の3代目が経営者で、独立系とあります。D&Gも、独立系のようです。
3社ともイタリアの会社です。
グッチがケリンググループにいるということですので、巨大ブランドグループ傘下であっても、案外、事前の受容性チェックなどはしていないということになります。
通常、メーカーであれば、販売前に、品質チェックの関門があります。おそらく、これらの会社でも、材料や縫製など、機能面のチェックはやっているのだと思います。
商品ネーミングであれば、外国商標調査の段階で、現地の商標の代理人弁護士が、言葉の含意で悪い意味があるとか、俗語で卑猥な意味があるとかのチェックがあるのが通常です(これは、サービスのようなものです)。弁護士は、ネーミングの専門家ではないですが、法律家=常識人であることが多いので、参考になります。
また、インターブランドのようなグローバルなネーミングコンサルでも、比較的良心的な価格で、各国のバーバルの専門家のチェックを受けることが可能です。こちらは、売上ににつながるコメントがあったりします。
おそらく、商標で問題が生じないのは、このようなチェックがあるからです。
一方、イタリアの3つのファッションブランドでは、黒人やアジア人の社員が少なかったためか、内部でチェックが働いていません。
もし、製品を出す前に、商標のように、各国の弁護士か、ブランドの専門家、今回であれば、黒人やアジア人の専門家に、相談があれば、何らかのコメントが出て、事前にストップできたかもしれないと思いました。
日常、ルーチンワークとして、外国商標調査をやっていますが、含意のチェックのメリットは、ブランドの毀損防止にとっても、案外大きい効果があると思います。