Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

ゴディバの日本事業

1100億円でMBKパートナーズが買収

2019年2月20日の日経電子版にゴディバの日本事業が、MBKパートナーズに売却が決まったという話が出ています。

www.nikkei.com

  • トルコの食品大手ユルドゥズ・ホールディングから、MBKパートナーズが、「ゴディバ」の日本事業を買収
  • 買収額は1100億円超
  • 対象はゴディバジャパン。韓国、オセアニア地域のゴディバ事業を含む
  • 売り上げは400億円程度。9割以上は日本事業が占める。ベルギーの工場も買い取る
  • ゴディバブランドの所有権は引き続きユルドゥズ側が持つ
  • ゴディバジャパンが管轄する地域に関してはMBKパートナーズに対して永久的にライセンスを得た
  • ゴディバは日本で百貨店などに約300店を展開
  • 過去7年で売り上げが3倍

コメント

この話、少し前から新聞に良く出ていたのですが、決まったということです。三菱商事や他の入札者もあったようですが、最終的に、投資ファンドに決まったようです。

 

2018年10月段階では、1700億円と新聞に出ていましたので、それからすると安くなっています。 

nishiny.hatenablog.com

 

400億円の売上で、1100億円をかせぐには、利益率20%としても、13.75年かかる計算ですので、高い買い物ですが、1700億円よりは、安くなったということでしょうか。

 

さて、この日経の記事で注目したのは、ゴディバジャパンの管轄地域に永久ライセンスを与えたという点です。

 

商品の品質や、ブランドイメージのコントロールのため、商標権はどこか一か所に、置くのが良いと思います。

日本で売っているゴディバと海外で売っているゴディバにあまりに品質やブランドイメージに差があるのは望ましくないので、多少の、ランニングのブランドライセンス料を、支払うのも良いと思います。

 

しかし、永久ライセンスとは、そんなものがあるの?と思いました。ゴディバの本体が、将来的に、買収されたり、倒産したり、その他将来何が起こるか分かりません。

当然、当事者間の契約書は作っているでしょうが、それは、当事者の約束でしかありません。

日本や韓国、オセアニア地域の特許庁にライセンスを設定登録することは、当然すると思いますが、期間の定めのない設定登録を受け付けいないようです。

権利単位で、当該商標権の更新までの期間しかしてできず、その満了日までに、(期間の)変更申請を繰り返すということを、10年に一度、繰り返す必要があります。商標権は一つではないので、その個数分、これを延々とする面倒な手続きもあります。

専用使用権設定登録申請書【商標】 | 経済産業省 特許庁

 

J-PLAT PATの同一検索でみたところ、カタカナの「ゴディバ」が3件、ローマ字の「GODIVA」が15件ありました。18件で、これをするなら、毎年、この仕事が発生します。

 

関係性が良いときは、大したことではないのですが、関係性が悪化すると、これが大変になります。

また、商標の権利者は、トルコのユルドゥズではなく、ゴディバ・ベルジウム・ビイブイビイエイ/エスピイアールエルという会社です。この会社が、権利の更新等を落とさないように、いつも気を使っておく必要もあります。

 

新たに、「GODIVA」「ゴディバ」の名称の入った商標を出願してもらうときは、この会社にお願いする必要もあります。

おそらく、M&Aを担当した法律事務所が、窓口になるのでしょうが、ゴディバジャパンに、しっかりとした商標担当者を置いておかないと、間違いなく、ややこしいことになります。

また、法律事務所ですが、商標の永続性が担保できる事務所は、4大事務所でもすべてではないので、商標管理は、歴史や実績のある法律特許事務所か、特許事務所に移した方が良いのでは?という気もしました。