商標出願の取下げへ
2019年2月15日の岩手日報のWebサイトに、東京の企業が出願していた「磯ラーメン」の商標出願が取下げりたという記事がでています。
「磯ラーメン」商標出願取り下げ 東京の企業、大槌に謝罪 | 岩手日報 IWATE NIPPO
磯ラーメン自体は、Googleの画像検索で見ていたければと思います。塩ラーメンに「あおさ」のような海藻が沢山トッピングしてあるラーメンです。
記事の内容は、
- 飲食店などを経営するRECREATIONS(渋谷区)が「磯ラーメン」の商標出願を取下げ
- 「磯ラーメン」は、岩手県沿岸部などで販売されている
- 岩手日報の取材に対し、「出願を取り下げた」と回答
- 磯ラーメン発祥の地をうたう大槌町に、同社から「地域で商品名として使われていることを調べずに出願し、申し訳なかった」との電話
関連で、2019年1月30日の岩手日報の記事があります。
「磯ラーメン」大槌で困惑 東京の企業が商標出願 | 岩手日報 IWATE NIPPO
コメント
今回は、自発的な商標出願の取上げに至ったようです。
J-Plat Patで、「磯ラーメン」を検索すると、経過情報に、2019年1月28日に出願取り下書の提出があったとあります。
岩手日報というマスコミが入って取材等をしていますので、問題が拡大してしますおそれがあります。
放置しておいても、拒絶になっただけだと思いますが、出願人の企業が出願取下をしたのは、妥当な選択だと思います。
商標の出願公開は、商標の補償金請求制度(出願から登録までの補償金を、商標登録後に請求できる)が出来たときに、商標内容の開示が必要ということで出来た制度です。
今回は、地方公共団体が情報提供して、識別性のない商標の登録阻止をしていますので、商標の出願公開制度と情報提供制度はちゃんと機能しているんだと思いました。低調な異議申立の補完機能を果たしているようです。
商標登録出願に関する情報提供について | 経済産業省 特許庁
最近は、商標出願ウォッチャーが沢山おり、面白い出願があると出願段階で話題になることが多くなっています。
ただ、この出願ですが、指定商品・指定役務が、25類の「被服」と43類の「飲食サービス」となっています。43類の「飲食サービス」は、出願人が登録を取りたいところなんだと思いますが、25類は理解できません。
通常なら、「ラーメンの生めん、乾麺、即席めん」の30類を指定します。
間違えて出願したのではないかと思いました。
もしかして、ラーメン店の店員が、「磯ラーメン」と書かれたTシャツを着るので、その対策で被服を抑えておくべきという考えなんでしょうか?
ご当地ラーメンの名前を商標出願するのは、その地域が地域団体商標で出願すべきです。結局、大槌町に謝りの電話までしないといけなくなるので、出願すること自体を止めておいた方が良かったと思いますが、この出願人が、25類「被服」を出願するようにアドバイスを受けていたのであれば、何かこの出願人も、踏んだり蹴ったりな感じもします。