Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

東芝機械の社名変更

芝浦機械に

2019年2月22日の日経電子版に、東芝機械が、2020年4月1日に、「芝浦機械」に社名変更するという記事がありました。 

www.nikkei.com

  • 2017年3月に、約2割を保有していた東芝が経営悪化を受け、保有株式の大半を東芝機械に売却
  • 現在の東芝保有比率は約2%に低下し、グループから切り離していた
  • 伝統の芝浦が59年ぶりに社名に
  • 「芝浦」は同社がかつて工作機械で展開していたブランド名「SHIBAURA」でもある。現在も一部製品に残り、工作機械の老舗ブランドとして一定の知名度
  • 1980年代に、対共産圏輸出統制委員会(ココム)の規制に違反したとして、「東芝機械ココム違反事件」があった

 

コメント

2017年3月にグループを離脱して、2019年に株主総会で社名変更を決め、2020年4月1日に社名変更ですので、3年かかっています。

 

現在の東芝機械のWebサイトを見ると、左肩のヘッダーの部分に、赤い「TOSHIBA」ロゴは使われておらず、その替わりに、「TOSHIBA MACHINE/Best Partner of Leading Industries」という表示があります。

社名から、「株式会社」「Co., Ltd.」を除いたものを表示しています。

通常の東芝グループではないのは、分かりますが、「TOSHIBA MACHINE」とあるので、どういうことか?信憑性に欠けるなという感じはします。

 

SHIBAURAというブランドの使用例があるようですが、Googleの画像検索で出てきたのは、SHIBAURAを楕円で囲んだ、それらしき製品銘板がありました。相当大きな製品だと思います。

 

20%を切ったら、定義上は、どうみても、グループ外ですので、社名を変更するのは、当たり前だと思います。

これを認めると、グループ運営はぐちゃぐちゃになってしまいます。

今回の話は、どちらかというと、東芝からのお願いで、株式を買ってもらったのだと思いますので、3年の猶予期間があったのだと推測しました。

 

20%を切ったのに、社内の声の大きい人が、特攻隊を組んで本社部門にアタックしてくることがあります。

本社部門も隊列を整えて、経営企画、経理、法務、品質などを巻き込んで、論点を整理し、経営者に最終判断を仰ぐ必要があります。

 

東芝機械は、海外の子会社もTOSHIBA MACHINEを冠しているようなので、その社名変更も必要です。

また、ブランドロゴ(商標)は、現在は、「TOSHIBA」ロゴではなく、「TOSHIBA MACHINE」となっています。これも変更が必要です。

社名が、「芝浦機械」ですので、おそらく「SHIBAURA」ないし、「SHIBAURA MACHINE」なのだと思いますが、こちらも作業量があります。

 

「芝浦」は、地名であり、一般名称なので、「芝浦」を冠したものは沢山あります。芝浦工業大学なら、まだ良いですが、機械やエレクトロニクスの会社が沢山あります。

折角、「東芝」「TOSHIBA」という識別力の強いネーミングだったのが、「芝浦機械」となると、識別力があまりありません。昔の伝統を記憶している人は少数です。「芝浦機械」でリブランディングするのは、ネーミング的には至難の業です。

 

そうなると、京都の村田製作所村田機械ではないですが、少なくとも、ロゴ化したり、図形をつけたり、あるいは更に、次の社名への変更を考えたり、そこまでがワンセットの取り組みではないかと思います。