Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

見えざる資産といっても

データのこと?

2019年2月25日の日経の朝刊1面に、無形資産が有形資産の1.5倍になり、見えざる資産が成長の源になっているという記事がありました。

見えざる資産、成長の源に 有形資産の1.5倍 :日本経済新聞

経済の形、情報が変える カリフォルニア大バークレー校・デロング教授 :日本経済新聞

(Neo economy)進化する経済(2) 「ムダ」排除が生む低温経済 摩擦ゼロに備えはあるか :日本経済新聞

(Neo economy)進化する経済(3) LINEの価値300万円? 豊かさはGDPの外に :日本経済新聞

3日間の特集で、Neo economyで進化する経済を説明しています。

 

大略、物よりもデータなどの情報の交換に価値がシフトしており、物の価値ではなく豊かさという価値で測るべきで、経済の成長もGDPで測れなくなっているということが事例をあげて説明されています。

 

2007年比で、2018年には、米・中・日の主要302社で、特許・ソフトウェアなど無形資産の価値は、約440兆円で、有形資産の1.5倍と紹介されていますが、

事例を見ている限り、無形資産とは、特許や商標やノウハウというよりは、データの話のようです。

すでに、物→特許・商標・ノウハウ→データと、データの時代になっている感じです。

 

紹介されている事例は、

  1. 愛車をやめて月に6万円のコストが無くなり、スマホアプリのWhim(ウィム)で、同額程度の定額で公共交通機関やレンタカー、シェア自転車。車は売れなくなったが、快適な移動で豊かさの実感は増した
  2. JRの自販機は、顧客の好みの分析で、水を売るのをやめて商品を入れ替えて、売上が3%増
  3. タイのアパレル・ネット通販は、カフェやヨガスタジオの空いた空間を、試着室に変える
  4. 利用料無料のLINEの価値は、1人当たり300万円
  5. スマートフォンの普及で写真は安くなった(枚数は15年前の20倍の年1.6兆枚)
  6. 照明の価格は3倍近くになったが、明るさという品質の向上を加味すれば、実質的には1千分の1に値下がりしたのも同然

日経の記者は、大略、

  • 物の所有からデータを利用した物の効率的な活用へ
  • GDPは、値段のない豊かさをとらえることは不得手(主婦の労働もカウントされていない)
  • 今後は、投資や生産は減り、物価が抑えられるデフレへ
  • 仕事が人工知能(AI)やロボットに置き換わり、失業も増える
  • 余暇や自由という新たな豊かさを手にしたと感じる発想の転換が必要

とまとめているようです。

確かに、収入が多少減っても、豊かさが増すなら、そちらの方が良いのだろうと思います。

 

コメント

少し前まで、一口に無形資産といっても、その内訳は、特許やソフトウェアやノウハウやブランドとなり、そのなかでも、ブランド価値が圧倒的に多いという理解をしていたのですが、この話を見ていると、ブランド価値から、データそのものの価値に、価値の所在がシフトしているように思います。

 

ブランド価値も、煎じ詰めると情報価値です。

NIKEなりAppleというブランドには、市場で靴を買うときに、ブランドは商品選択の目安となるということで、購買決定のファクターとしての価値があります。

また、BMWやロレックスの時計は、その価値あるブランドの商品を所有する喜びのような価値があります。

 

完全に、データ中心の社会にはならないように思いますが、データの有効活用で、豊かさを増していく社会に変化しており、それは時には、物の値段を劇的に下げたりする副作用がある。しかし、基本的には人々の生活を豊かにするものであるという捉え方でしょうか。