Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

カナダグースの偽物

消費者庁の注意喚起

2019年2月22日に消費者庁から、「カナダグース」の偽物についての注意喚起が出ています。

https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/release/2018/pdf/release_2018_190222_0001.pdf

 

内容は、

  • CGJPなる会社が「カナダグース」(防寒用衣料品等を製造するカナダの企業)を、SNSで広告
  • CGJP のウェブサイトには、例えば、カナダグースのダウンジャケットが
    本来「123,800 円」が「24,700 円 」
  • アドレスは、http://www.coatwarm.asia/ と http://www.gooseyasuyi.com/
  • 消費者は、カナダグースの正規品が安売りされているものと思い、注文フォームから商品を購入
  • 支払方法は、クレジットカード決済か代金引換
  • カナダグースの正規品に比べると重量や質感が異なる
  • カナダグースの正規品を販売する直営店、小売店の中にCGJP という名称の事業者はなく、商品は正規品ではない(虚偽・誇大な広告・表示及び不実告知)
  •  CGJPのウェブサイトは、所々、日本語の「字体」や「文章表現」がおかしい
  • 偽造品について(カナダグース日本公式サイト) https://www.canadagoose.jp/counterfeit/

というようなものです。

 

コメント

この消費者庁のリリースに記載がある問題業者のアドレスですが、一つは開けなかったのですが、もう一つは、今日も見れました。公式サイトとよく似たデザインで、良くできています。

いかにも偽物というサイトではなく、一見ちゃんとした、手の込んだサイトです。これなら、騙される人がいても不思議ではありません。

 

カナダグースの正規品のサイトには、模倣品の見分け方が載っています。現物を確認して購入するときは役立ちますが、ネットではあまり役立ちません。自分がネットで買ったものが本物か偽物か、判断するときに役立つかなという程度です。

 

消費者庁には、2017年10月~今年1月、同社に関する相談が782件寄せられたといいます(朝日新聞の電子版の2019年2月23日の記事)。これは、苦情が殺到しているというレベルです。

 

さて、模倣品というと、警察や、税関がメインの話なのですが、この話は消費者庁というのが、面白と思いました。リリースには、次のようにあります。

消費者の利益を不当に害するおそれのある行為(虚偽・誇大な広告・
表示及び不実告知)を確認したため、消費者安全法(平成21 年法律第50 号)第38 条第1項の規定に基づき、消費者被害の発生又は拡大の防止に資する情報を公表し、消費者の皆様に注意を呼びかけます。
また、この情報を都道府県及び市町村に提供し、周知します。

模倣品対策として、消費者安全法が使えるんだと思いました。

 

ネットでは、この会社が危険という記事が沢山あるのですが、まだ、サイトを見ることができます。

サイト記載の住所は虚偽のようです。ここまで事件になっていれば、警察が動いても良さそうなのに、警察が動いていません。Webサイトも動いています。おそらく、海外に拠点があるのでしょうが、ここまで、堂々と偽物を売っているのに、消費者安全法で、周知するだけではなく、より実効的な対応方法がとれないものかと思います。