Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

スポーツの愛称

柔道のゴジラジャパン

2019年3月19日の朝日新聞デジタルで、全日本柔道連盟が、柔道の日本代表の愛称を「ゴジラジャパン」とすると発表したという記事を見ました。

  • これまで、連盟は、海外選手の戦い方を分析するシステムを、「Gold Judo Ippon Revolution Accordance」(金・柔道・一本・革命・調和)で、通称「ゴジラ(GOJIRA)と呼んでいた。
  • これを知った東宝側から提携を提案
  • 今年末まで。延長はありうる
  • インパクトの強いゴジラのイメージキャラクターは、求心力に
  • ジャージーゴジラのイラストなど
  • 連盟の理事会は、賛成14反対8に割れた。最後は多数決
  • 礼儀正しさ、破壊のイメージに意見。2名の女性理事は反対

という内容です。

関連で、同日の朝日新聞デジタルには、日本代表や、リーグの名称について、リンクがあり、そちらは、

  • 野球とホッケーの日本代表が、ホッケーが2008年3月に「サムライジャパン」を商標登録し、野球が漢字の「侍ジャパン」と棲み分けた。
  • ホッケー幹部は、今さら、ケンカにならない。露出が違いすぎる
  • 女子サッカーは、「なでしこ」で、アテネ五輪向けに、2004年に一般公募し、現在では、リーグ名も「Lリーグ」から「なでしこリーグ」へ
  • ハンドボールの「ムササビジャパン」としていたが、女子代表「おりひめ」とつながりを意識して、「彗星(すいせい)ジャパン」に

とあります。

 

コメント

ニックネームは、難しい問題です。連盟や機構やリーグのようなところが、自らプロモーションするために、使用する場合は、商標登録への配慮が必要になります。

特に、有償のスポーツ興行の場合は、一つの事業となり、類似商品役務審査基準にも、「スポーツの興行の企画・運営又は開催」があります。

また、その愛称で、グッズ類を販売するなら、各グッズでの商標の手当が必要です。

ゴジラ」の場合、グッズを売ろうとすれば、東宝とタイアップしないと売れないといことは理解できます。

 

一方、誰か、第三者などから愛称がつけれて、それがマスコミを通じて拡散して、自然発生的に愛称となるケースがあります連盟や機構やリーグのようなところが関知しないところで、発生した愛称ですので、止めることも簡単ではないですし、下手に止めるようにすると、人気に水を差すようで、無粋になりますので、放置しておきます。すると、いつの間にか、その名称が確立しまったということも多いと思います。

 

そうなると、すでに、有名、周知になっているので、今更、権利があるからというだけで、権利者は、クレームはできません。

世の中で、商標権者が強いのか、周知・著名商標主が強いのか?というと、圧倒的に、周知・著名商標主が強いのです。

 

登録主義だ、なんだと言っても、周知・著名な商標に、もし商標権者がクレームしようものなら、社会が黙っていません。

 

そうはいうものの、事業を行うなら、権利確保が重要です。公的な、連盟や機構やリーグだから、先に権利者がいる名前でも、自由に採用できるという訳でもありません。

マスコミが勝手につけたようなものか(連盟等が決めたものか)、一過性のものか(永続的なものか)、収益事業か(無収入のものか)、グッズ類の有無、などから、総合的にみていくことになります。

 

J-pkat patをみると、ホッケーの「サムライJapan」と野球の「SAMURAI JAPAN」が並存登録されています。アサインバックでもしたのでしょうか?

アサインバックをしていないとすれば、すでに著名で混同が生じていいない等の、何か特別の判断があったのだと思います。

(商標権上は、朝日新聞にあるように、カタカナと漢字で棲み分けているのではないようです)