ネーミングなど、参考になります
特許庁から、商標の活用事例集「事例から学ぶ商標活用ガイド」というものが配布されています。
商標の活用事例集「事例から学ぶ 商標活用ガイド」 | 経済産業省 特許庁
https://www.jpo.go.jp/support/example/document/trademark_guide2019/guide01.pdf
パンフレットの後半にある事例(20事例)を、ざっと読みましたが、非常に良くできています。
少し紹介すると、
- 「まるでこたつソックス」靴下のネーミングを変えて、売り上げが30倍になった(※「三陰交をあたためるソックス」としていたものが、「まるでこたつソックス」とネーミングを変えたら、大ヒット)
- 「Hey MASAO」面白いネーミングの農機
- 「ぬちまーす」の塩のライセンスの話(※はじめは塩の商標だったのが、応用製品にまで商標をライセンスしている。これからはライセンス料もとり、海外でも出願する)
- 「LOGOS」の模倣品対策
- 「b-r-f」ブラシの商標。著作権で中国で戦った話(※支援を受けながら、異議申立てし、それに負け、中国の最高裁まで争って勝ち取った話)
- 「ワンカップ横関」の普通名称化の防止策
- 「エルモア」のマドプロ活用
- 「シャリーン」の音商標
- 「G-SHOCK」のECサイト模倣品対策
他にも、あります。
ネーミングの教科書になっていますし、作ったネーミングの権利取得やライセンス、模倣品対策の教科書にもなっています。普通名称化、マドプロ、新しい商標、地域団体商標、特許庁等の各種支援策なども理解でき、万遍なく、商標業界の今が理解できるように、事例が選択されています。
商標登録が実際に有効であることや、最近、特許庁が進めている施策が、実際に事業に連動して、成功していることを示す事例です。
各々の商標に、「思い」や「事件」や「アイディア」や「行動」が詰まっており、それが事業の成功につながっているんだなということが分かります。
20の事例は、社長さん自ら、積極的に取材に協力してくれているものも多く、半分ぐらいは有名な商標ですし、半分ぐらいは新しい発見のある事例です。
案外、良いネーミングが、ネーミングコンサルやデザイン会社に相談しなくても、社内で相談して作りましたというような話が多いように思いました。この点も新鮮な感じです。
これは、本にすれば売れるのではないかと思います。
監修された方には、何名か存じ上げている方の名前がありました。企画を作るのも、面白かったのではないでしょうか。
弁理士会から、パテント誌と一緒に送らてくるパンフレットに、ネーミングのコラムがあります。一見よく似ていますが、この20の事例は、より体系的に、より意図をもって企画、対象決定、取材、編集されているような感じです。