Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

デザイン経営プロジェクトレポート

半年間の成果物

2019年4月4日の経済産業省のWebサイトで、特許庁の「デザイン経営プロジェクト」レポートが掲載されています。

「デザイン経営プロジェクト」レポートを取りまとめました (METI/経済産業省)

昨年の8月から半年間、特許庁内でデザイン統括責任者のもと、「デザイン経営プロジェクトチーム」が発足して、6つのチームで各チームが課題だしと解決策を練り上げたというものです。

 

  • プロジェクトの代表的な成果として、「拒絶理由通知」を受け取った人の戸惑いを解消するスマホによる情報提供
  • 海外出願人と対話し、そのニーズに沿った解決策を包括的に提供する取組

  • スタートアップを支援する知財人材を確保するためのプロボノ・副業の支援 等

と記載されていますが、他にも面白い取り組みがあるようです。

https://www.meti.go.jp/press/2019/04/20190404002/20190404002-1.pdf

 

ざっとみて、個人的に、面白いと思ったのは、

  1. UI(ユーザーインターフェース)チームの、従来エクセルで属人的にやってきた知財管理を、一元管理できるウェブサイトを提供するもの
  2. 海外からの特許出願についての、翻訳提出を限定したり、機械翻訳を活用して、外国出願人の負担を減らすというもの
  3. 無関心ユーザーに、商標出願の重要性などを動画で提供するにあたり、5つのシナリオを作ったというもの

です。

 

1つ目は、すでに、マークアイ、ブライツコンサルティング、Anaquaなどの知財管理システムでは実現しているものですが、それを特許庁が提供するというのは、大きな意味があります。

昔、BRANDYしかなく、専門家に留まっていた商標調査が、IPDL(J Plat-Pat)ができて、一般人にも商標調査が身近になったのと同じような革新につながると思いました。

 

今、商標弁理士は、各企業毎に全く違うシステムに直接入力したり、各企業の要望にあったデータ形式での提供を求められたりしていますが、同じような情報なのに、多少違うとまったく違い事務負担が生じているという状態です。

この特許庁のものが実現すれば、何か解決のヒントになるような気がしました。

 

2つ目は、Japan passingを無くすためも、必要なことだと思いました。今や、先行技術調査でも、英語や中国語、韓国語の文献調査が必要です。時代の流れだと思いました。

 

3つ目は、レポートでは簡単に紹介されていただけなのですが、動画シナリオを作ったことが面白いと思います。弁理士会の漫画による知財啓発コンテンツでもシナリオが重要です。

この動画でイメージしたのは、USPTOが提供している動画サイトです。これは、良くできてます。

 

nishiny.hatenablog.com

大変だと思いますが、これは作ったら良いなと思いました。

 

デザイン経営って何をやっているのかと思っていましたが、ユーザー視点で課題発掘と解決策の提案、スケジューリングなどをしているようです。

次は、実際にプロジェクトとして動かすことですが、これは労力がかかるだろうと思いました。

特許庁の職員が、上司の指示や関係先の要望ではなく、自発的に課題解決をしようという契機になったというのが、プロジェクトの成果なのでしょうか。