製造委託先明記へ
2019年3月26日の日経電子版で、イオンがプライベートブランド(PB)のトップバリュについて、委託先企業の明記をはじめたという記事があります。
イオン、PB商品の委託先明記 非開示から一転 :日本経済新聞
- トップバリュの商品に委託先企業の明記を開始
- 従来は販売者として「イオン」のみ。委託生産する企業の社名や住所は非開示
- 理由は、最後までイオンが責任を持つことを示すため
- 2020年4月に完全施行される食品表示法をにらみ、順次開示
- 例えば、「厚切りカット ポテトチップス」は湖池屋
- これまでは製造所固有記号と「兵庫県の工場で作っている」などと表記
- セブン&アイ・ホールディングスのPB商品を共同開発した企業名を開示する動きとは正反対
コメント
このニュース、気になったので、検索してみると、既に2015年に東洋経済ONLINEでまとめがされていました。こちらの記事は、大変参考になる記事です。
イオンが身構える「PB生産者表示」の衝撃 | 世界の(ショーバイ)商売見聞録 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
PBブランドの特徴:
小売業者と製造を委託されるメーカーが直接取引することで、商品流通のコストや広告宣伝費などを抑え、安価で商品を提供できる
食品表示法:
製造所固有記号を表示する場合は、「製造所所在地などの情報提供を求められた場合の連絡先」や「製造所所在地等を表示したWEBサイトのアドレス等」、もしくは「当該製品の製造を行っているすべての製造所所在地等」のいずれかを併記しなければならない
きっかけ:
2013年末にアクリフーズ(当時、現在はマルハニチロに統合)の群馬工場で起きた冷凍食品への農薬混入事件
プライベートブランドを進めた中内さんのコメント:
PB商品について、「製造者名を表示すべきと思わない」「企業には企業秘密がある」
この動きは、食品表示法対応の話なので、食品限定です。他の消費財のプライベートブランドまで、製造者の表示が義務付けられることは、それぞれの製品が関連する法律の法改正が必要だと思いますので、今のところはなさそうです。
しかし、以前から、セブン&ホールディングスは、このPBについて、真っ向から違う意見を持っていました。
セブンのPBを見ると、ビールなどの食品だけではなく、日用品にも製造会社名を書いているはずです。
これは、事業の哲学の問題です。小売業としての哲学としては、イオンの方が、セブンよりも魅力を感じます。実際はどうなのか良くわかりませんが、流通として責任を取るというスタンスはカッコよく聴こえます。
製造会社からもしても、ナショナルブランドを持っている企業が、PBを供給しているときなどは、製造会社名を出すセブンよりも、出さないイオンの方が付き合いたい相手方となります。
あ店の近くの棚に、製造会社付きPBと、ナショナルブランド商品があり、価格が半分とすると、消費者がどちらを選択するか明らかです。
セブンの戦略は、製造会社名が、商品の信用を補完する(商標ではありません。商号です。ここも、ポイント)ものであるという点を、突いています。
この動き、アグリフーズで始まった、食品の動きですが、徐々に、他の日用品に影響が出てくるように思います。