商標が問題に
2019年4月2日の IT mediaに、みずほフィナンシャルグループが進めているQRコードを使ったスマホ決済「Jコインペイ」の商標についての話が載っています。
「Jコインペイ」は、もともとは、みずほFGが「Jコイン」という名称で展開しようとしていたところ、ベストライセンスの出願が発見されて、名称を「Jコインペイ」としたとあります。
内容は、
- 2017年9月に、みずほFGが構想を打ち出したときの名称は、「Jコイン」
- 2018年3月に、ベストライセンスが出願。同社は、「A・COIN」から「Z・COIN」までを商標出願
- 別の会社も2018年9月に「J-COIN」を出願
- 出願に出遅れたみずほFGは、商標ア争いを避け「Jコインペイ」に
みずほの「Jコイン構想」は、単なる決裁手段ではなく、デジタル通貨(仮想通貨)の名称のようです。
QRコード決裁は、そのサービスの一部のようです。
みずほが3月にデジタル通貨Jコインを発行することを決定!概要やメリットを解説! | CRYPTO TIMES
みずほが3月にデジタル通貨 送金無料、地銀60行参加 :日本経済新聞
https://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/shoryu/credit_carddata/pdf/008_04_00.pdf
- J-Coinは日本円と1:1でペッグされている
- 加盟店は、クレジットカードなどの既存の決済インフラと比較した場合、手数料などコストを大きく削減可能
- J-Coinのサービスインフラには、約60行の地方銀行も参加
とあります。
コメント
上記のIT mediaにある(ベストライセンス以外の)別の会社横浜市の会社が、「J-Coin」を2018年9月に、「J-Coin Pay」を2018年11月に出願しています。
それ以外に、「Jコイン」「Jコインペイ」についての出願はなさそうです。この横浜の会社は、みずほFGの関係先なのかもしれませんが、良く分かりません。
2019年2月20日の日経を読むと、3月から「J-Coin Pay」のサービス開始とありますので、そう考えた方がつじつまが合います。(もし、みずほFGと横浜市の会社が関係ないとしたら、これはこれで、問題ですが。。。)
みずほ銀行、QRコードを活用したスマホ決済サービス「J-Coin Pay」を提供開始 :日本経済新聞
さて、構想を発表したのが2017年9月で、ベストライセンスの出願が2018年3月で、半年ありました。
ベストライセンスが、どこまで、みずほFGをターゲットにしていたか不明です。話題の仮想通貨を念頭に、「A」から「Z」までを付けて、出願したのかもしれませんし、みずほFGを念頭にしながら、出願したのかもしれません。
でも、その間、6ヶ月がたっています。
日本の商標法の、厳しい先願主義からすると、出願するのが遅い感じです。本当は、構想を社会に打ち出す前に商標出願が欲しいところです。
そのときには、コードネームでしかなかったのかもしれません。全く違う名称になるときは、それでよいのですが、コードネームが一旦社会に出して反響を得ると、それが正式名称に採用されることも多いので、コードネームは注意が必要です。
ベストライセンスが、網にかったとして、「Jコイン」について出願手数料を支払ったとしても、特許庁は識別性なしで拒絶するのではないかと思います。。
その間に、別商標の「J-Coin Pay」が、登録できるという判断でしょうか。
日本の場合、メーカーには知財部があり、特許事務所にもつながっていますが、メーカー以外には法務や総務が商標を担当していることが多いようす。
今回のニュースを見ていて、メーカー以外では、商標などについての、基礎的な知識の普及啓発や知財権のルール策定が、できていないのだなと、あらためて思いました。