Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

ガバガバ儲けるブランド経営

久しぶりに読み返して

2005年の本ですので、14年前の本になりますが、小出正三さんの「ガバガバ儲けるブランド経営」(サイビズ)を再読しました。

 

ガバガバ儲けるブランド経営

ガバガバ儲けるブランド経営

 

 

当時、タイトルが面白いので、買った本です。もう、今は、中古書店で買うしかないと思います。

 

当時は、会社のブランドマネジメントにいたのですが、当時、「不易流行」に従ってブランドロゴガイドラインを整備していました。

ブランドガイドラインを2冊に分けて、あまわ変わらないものを基本編として、良く変わるものや、地域で変わるものを応用編として、2分冊として、これも一つの「不易流行」だと説明していました。

(※本当の「不易流行」の意味は、諸説あり、不易を基本としつつ流行を取り入れていかないといけないという考えや、流行こそ不易の本質という考えなどがあるようです。)

 

前置きが長くなりましたが、この本の著者は、当時は「不易流行通信」というダイレクトメール会員制度を作っており、会社でも会員になり、読みました。

 

本の内容ですが、大略、以下です。

日本人の得意な「より安く、より多くの人に、より良いものを提供する」、これを追求していては、日本は駄目になるということで、「高価格」でないといけない。

そして、「高価格」にするには、競争のない状態に置かなければいけない。

 

競争のない状態とは、お客様の主観的な満足であり、競争の軸や場を決めて顧客の主観的満足を得る必要がある。ここが、メインの考え方です。

これを筆者は、「ビジネスの幅」という言葉で説明してます。

(※アーカー教授の言っていた、「カテゴリーを作る」、「サブカテゴリーを作る」、に近い感じがしました。ブランドは差別化のためにありますので、差別化のポイントの言い換えなのかもしれません。)

 

そして、この「ビジネスの幅」にネーミングをするというのです。

事例としては、ウォークマンiPod との比較があり、製品を「ビジネスの幅」と考えて、それに名前をつけているのがウォークマンで、音楽配信から始まって個人が装身具のように音楽を身にまとうまでの一連の流れそのものを対象にしたブランドがiPodとします。構成要素は、iTunes Music Shopと、iTunesのソフトと、iPodという製品になるとします。

 

そして、ネーミングの単位を、「製品」「企業」「お客様」にネーミングをしようといいます。ネーミングへの意味付けが重要であり、

  1. 製品は、どんなソリューションを提供しているのかブイトーニの日本での活動)
  2. 企業は、どんなメソッドを採用しているのか(関アジ、関サバの例)
  3. お客様については、お客様の声を聞き、お客様に居場所を設定する(1年のブログ修行の例とたまごクラブ・ひよこクラブの例)

ネーミングの単位としていますが、競争の軸や場、あるいは、ビジネスの範囲を、この製品、企業、お客様という切り口で、再定義し、そこをネーミングで可視化するというものだと思います。

 

最後に、ブランド活動の実行主体は、「バカ者」「キレ者」「ヨソ者」が鍵になるとあります。

 

マーケティングとは、顧客を創造することである言われますが、それをブランドや、ネーミングで展開すると、こうなるなと思いました。

 

事例の分析が面白いので、お時間があれば、是非、読んでください。